見出し画像

家族に会いたくなる映画『エール!』

アマプラで見られる、2014年のフランス映画『エール!』を見た。

ここ数日心がザワザワしていたので、平和で穏やかな気持ちになれてよかった。ここから先、どうしてもネタバレしたくない方はご注意を。

好き度:★★★★☆

セリフのほとんどが歌と手話

舞台はフランスの田舎町。ポーラ・ベルエは酪農を営む4人家族の長女。両親と弟には聴覚障害があり、たったひとり耳の聞こえるポーラは家族の仕事を手伝いながら、家族と町の人たちをつなぐ通訳としての役割も果たしている。

全編を通して歌と手話が多く盛り込まれている映画だった。手話で勢いよくおしゃべりをして、いつもドタバタ騒々しいママが好きだった。声を出して話そうが手話で話そうが、話し方にその人の個性は色濃く出る。「聞こえないことは個性だ」と力強く言ったポーラのお父さんのセリフも印象に残っている。

また、あるときポーラはコーラスの先生に歌の才能を見出され、パリの学校への進学を目指すことになるのだが、それ以降の歌唱シーンがとてもよかった。フランス語は愛を歌うのにぴったりだ。

親離れ、子離れ

この映画は少女が成長して大人になり、自立していく過程を描いている話だ。それと同時に、親が子離れする話でもある。

ポーラの歌が聞こえない両親は、子どもの才能を信じられず最初は猛反対する。でもその後、ポーラの歌を「聞いた」ふたりは、仕事を手伝ってくれる人を雇ったり、娘がいなくても生活していける環境を整えていこうとする。子が離れていこうとするとき、親もまた子離れの準備をするものなのだ。

ラストの歌唱シーンは愛に溢れていて素晴らしく、離れて暮らす家族に会いたくなった。夏休みの鑑賞にもおすすめ。

この記事が参加している募集