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あまりにも美しく孤独な映画『ノマドランド』

2021年公開。いつか観たいと思っていたのでディズニープラスで見つけてうれしい。うまく言語化できるかわからないけど感想を書いてみたい。ネタバレしたくない方はご注意を!

好き度:★★★★★

夫を亡くし旅に出たファーンの生き方を描いた映画だ。どんな生き方が正解か。そんなものはない。彼女はただ生きるだけだ。

この映画には様々な人たちが出てくる。そうならざるを得なくて車で生活する人たちもいるし、定住するのが嫌で旅を続けている人もいる。それぞれに物語がある。

ファーンはどうして旅を続けるんだろう?それが途中までよくわからなかった。家族(姉)もいるし、その気になれば街での生活に戻ることもできる。さらに「この家に住まない?」という誘いを2回受けても彼女は戻らない。屋根のある家ではなく、車へと戻っていく。

時々仕事をして人に出会い、別れ、再会する。生きるのに必要なものだけを持ち、生き抜く術を身に着けていく。単にお金や物に縛られない生き方をしたいからかと思っていたけど、そうではないのかもしれない。

喪失感とこの先も生きていく意味を見出していく、ヒーリングの物語だったのではないだろうか。最終盤にはそんなふうに思えてきた。乗り越えるというよりは共存する方法を見出すための旅、というか。

美しく広大な景色を前にちっぽけな人間は結局ひとりだ。その姿が今も目に焼き付いている。

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