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【映画感想】不快指数1000%の田舎ステイ『MEN 同じ顔の男たち』(2022・アメリカ)

フライヤーをもらってから、配信されたら見ようと思っていたA24作品。

なんだか怖そうなので、見たいような見たくないような…といういつものやつだったのだが、アマプラに入ったので見てみることにした。結果、直接的に怖がらせる系じゃなくて、不気味でじわじわ不快になる映画だった。この先、ネタバレしたくない方はご注意を。

好き度:★★★☆☆

夫の死を目の前で目撃してしまったハーパー(ジェシー・バックリー)は心の傷を癒すため、イギリスの田舎街を訪れる。そこで待っていたのは豪華なカントリーハウスの管理人ジェフリー(ロリー・キニア)。ハーパーが街へ出かけると少年、牧師、そして警察官など出会う男たちが管理人のジェフリーと全く同じ顔であることに気づく。

対比

第一印象はとにかく色が可愛い、だった。特に宿泊先の家がとても可愛い。パキっとしたカラーで緑青赤、いろんな色が画面に広がる。そして鮮やか。森、雨、水たまり。カントリーサイドの自然の撮り方も美しい。

あまり事前情報を入れないで見始めたので、これから一体何が起こるのかワクワク感がある。でもホラーっぽいような雰囲気も感じていたので、いつ何があっても驚かないように、心構えだけはしていた。

最後まで見て思うのは、最初の爽やかな色合いはクライマックスに向けての布石でしかなかったということ。

不快さ

都会から田舎へやってきて、そこで様々なことが起こる、という話はよくある。『終わらない週末』もそうだった。しかし本作は一体何の話なのか最初はよくわからなかった。終盤に差し掛かる頃にはその形が見えてきて、見えすぎて、不快指数がマックスになっていた。

女性に向けられる不快な視線、態度をぎゅっと凝縮させた男たちの詰め合わせなのだ。

暴力の容認

ハーパーが夫に殴られたことを話すと、「男には時々あること」と言い、「謝る機会を与えたか?」「それはお前が悪い」と責める神父。そしてまとわりつくような視線で見てきて、同意なく触れようとしてくる。慰めるふりをしながら、しれっと太ももに触るのが気持ち悪すぎた。

被害を認めない

警察官には被害を訴えても聞いてもらえない。敷地内に侵入してきた裸の男について、ハーパーは主張を聞いてもらえない。「罪状がない」とあしらわれてしまう。

思い通りにしたい

教会で出会った男は「かくれんぼをしよう」とハーパーに迫り、断ると暴言を吐き捨てる。思い通りにならないと態度を急変させるのだ。

まとめ

クライマックスはもう見ていられないくらいだったのだが、いつまでもいつまでも生まれてくるあれは、これまで繰り返し起こってきたことの歴史を物語っているようにも見えた。あと俳優がうますぎてサブタイトルになかったら同じ顔なのに気づかなかったよ。

しかし刃物はダメだって!本当に!やめてくれ!面白かったけど、ああ、疲れた。

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