大人になれなかったのか、ならなかったのか
Netflix映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』を観た。
主人公の佐藤は、偶然昔の恋人とFacebook上で再会する。そこから蘇る思い出たち。
役者さんのこと
昔から森山未來のことが好きだ。彼が出ているから、この映画を観ようと思ったくらいだ。原付と猫背がこんなに似合う人は他にいない。あの不思議な魅力は何なんだろう。
無精髭でも、どんなに汚い格好でもどんなにクズでも惹かれてしまう。今回は21歳から43歳までを演じ分けていて、驚愕。ちゃんと違う年齢に見えた。すごい。それ以上の感想が出てこない。
予告から、伊藤沙莉ちゃんがメインかなと予想していたけれど、他の登場人物たちも存在感があり、印象に残った。今回の映画がはじめましてだったSUMIREさんが本当に美しいし、キャラクター的にも好きだった。(あと梨泰院クラスリメイクするならスアをやってほしい)大島優子ちゃんも最初は誰かわからなかったくらいよかったな。
気になるキーワード
劇中、何度も登場するキーワードがあった。
・普通(そんなのつまんない、というネガティブな意味で)
・私には何にもない
普通って一体何なのだろう?大人になるって一体何なのだろう?何かを持ってる人なんてそんなにいるんだろうか?
佐藤はかつての恋人のFacebookを見る。結婚して子どもを生んで、幸せに暮らす姿。「普通」を一番嫌っていた彼女の今の姿を見て、「めちゃくちゃ普通じゃん」とつぶやく。
みんなどこかズレていて、普通でいることが一番難しい。でもみんな何もない。どちらにしろ、どうやって幸せになれるのか考えるほうがいいのではないだろうか。別に普通でも普通でなくてもいい。
誰にだって忘れられない思い出はある。思い出すことは悪いことではない。ただ、そのとき隣にいる人を大事にできないと幸せになれない。
今を映す
舞台は2020年。ニュースは連日感染者数を報道していて、街行く人はみんなマスクをしている。映画の世界では今が舞台になっていても、当然のごとくマスクはしていないから「これはフィクション」という感じが強くなる。
でもこの映画は違った。全員がマスクをしているなんて、そちらのほうが不自然なことのはずなのに、今はそちらを自然と感じる。
私たちは佐藤のように走り出したくなる思い出を抱えて、生きていく。