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【映画感想】ホラーじゃないよ『秘密の森の、その向こう』(フランス)

なんとなく惹かれるものがあって、お気に入りに入っていた。

きっと邦題のせい(怖そうじゃない?)でホラーかと思っていて、しばらく観るのを躊躇っていた。観てみると、全然違った。短いのでさくっと、でも心に残るものがあって私はとても好きだった。静かなのでそれが退屈な人は合わないかもしれない。

絶対ネタバレしたくない方はこの先ご注意を!

好き度:★★★★★

演出がおしゃれ

最初のシーン。泣いたり、言葉にせずとも何が起こったのか理解させる演出がすごい。そこで感動してしまった。

同じように、電気を消すタイミングでパチリと次のシーンに移るのも良い。ありそうであまり見たことない。印象に残る。

子どもの目線

子どもが遊んでいる様子があまりにも自然で驚いた。思わず自分の幼少期を思い出したりもした。

お菓子を食べている様子(スナック菓子をサクサクサクって食べるとか)の描き方がうまい。秘密基地の小屋を作ったり、8歳の子がやるには大人っぽすぎるオリジナル脚本の劇をやる遊びの描き方も良い。何をやってもおかしくて、2人だけの世界でケラケラ笑っている。

秘密というのは隠すことじゃない、話す相手がいないこと。

PETITE MAMAN

母親が車を運転していて、後ろに座っている娘がにゅっと後ろから手を出してお菓子を食べさせてくれるシーンが好きだった。お菓子を3回、ジュースを1回。思わず微笑んでしまう、二人の関係性を示していた。

母と娘。子どもは母の考えていることをわかろうと、よく見ている。自分が幸せの邪魔をしているのではないかと不安にもなる。そこで出てくるこの言葉は子どもにとって救いになる言葉だ。

悲しいのはあなたのせいじゃない。私の悲しみは私のせい。

秘密の森の、その向こう。そこで出会ったのはもう二度と出会えないとわかっている、あの子。子どもならではのスピードで受け入れて、お互いがお互いを癒やす。最高のヒーリング映画だった。

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