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【ドラマ感想】嘘にもとづく実話『アップルサイダービネガー』
Netflixにて視聴。珍しくオーストラリアのドラマだ。たまたま予告を見て気になったので再生してみたら、とても好きな感じだった。
この話の中心人物のベルは、化学療法ではなく自然療法でガンを克服したとして、自身の食事やライフスタイルをアプリ化。フォロワーは彼女のことを信じていたが、実はそもそも彼女のガンというのが嘘だった…という話。
日本や韓国ではこういう、実在の有罪判決を受けた人物の話をドラマ化するってあまりないように思う。毎回律儀に「ドラマ化にあたりベルギブソンには報酬は支払われない旨」の注意が出てきたのも印象的だった。そりゃそうだ。
好き度★★★★☆
信じることは大きな力になるけれど、ときに危険を伴う。何かを信じることは自由だけど、のめり込みすぎると誰かを巻き込むことになる。
タイトルはアップルサイダービネガーを一気飲みすると健康にいい、なんて言われていることから来ているのだろうと予想している。日本にもある。納豆とか、ヤクルトとか。あれが健康にいい、これが健康にいい、テレビで取り上げられるとスーパーから消える。なんでも手軽に調べられる時代だからこそ自分で情報の取捨選択をしなければとても危険だ。
でも、病気を宣告されていたらどうだろうか?治療がうまくいっていなかったら?少しでも可能性があるのなら試したい、と思ってしまうのではないだろうか。だからこそベルの嘘は多数の人に大きな影響を与えていく。
これはフィクションの部分かもしれないけれど、ベル自身の、嘘をつくことでそれを自らも信じ込み、本当のことだと思ってしまうのも、ある種のケアが必要なのではないかと思った。大きな欲望としての承認欲求は、母親に構われなかった幼少期に起因しそうだ。嘘を嘘だと思わずにつき続け、人に認められたい、私を見て、と主張し続けた彼女のことを考えてしまう。
エンタメとしては一言、面白かった!という感想になるが、その一方でさまざまなことを考えさせられた。