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【映画感想】何度でもやり直す『ミナリ』
何で知ったのだったか、いつか観たいと思っていた。現在はネトフリにもアマプラでも配信されている。ミッドサマーやLAMBを生み出した映画配給会社A24の作品とのことで、期待値が上がっていた。
本作は韓国からアメリカに渡った家族の話だ。地味だけど、じわじわと引き込まれていった。絶対にネタバレしたくない方は、この先ご注意を。
好き度:★★★★☆
移民
様々な理由で違う土地に移り、生まれた場所ではないところで生きる人々。その苦労ももちろんあるのだけど、フォーカスはもっと家族のあり方に当たっていたように思う。
アメリカの広大な土地で農家をやり、成功した姿を子どもたちに見せたい夫と、暮らしへの不安があり子どもたちのために都会に住みたい妻。彼らは毎日ケンカしている。どちらも言っていることはわかるけれど、妻のほうにより感情移入してしまった。
ハルモニ
どんな映画でもハルモニ(おばあちゃん)はいつだって重要な役割を果たす。孫のためにクッキーを焼いてあげたり、何かと世話を焼くのがハルモニという存在であるが、ミナリのハルモニはそれをしない。
「おばあちゃんらしくない」と孫に言われるくらい自由で、できることと言えば悪態をつきながらする花札。彼女の存在感に圧倒された。
ミナリ
ミナリとは韓国語で「セリ」のこと。水辺であればどこでも育ち、強く、生きるための食料になる。
バラバラになりかけていた家族をハルモニが繋ぐ。デイビットが走る。(ここで自分でも驚くほど泣いた)照らされて浮かび上がる夫婦の姿。これはミナリのように何度でもやり直し、生きていく物語だったのだ。映画のタイトルはミナリでしかありえない。良作だった。