毛嫌いしていた赤い爪への妄想から読みとく自己肯定感
今までは、すごく敬遠していた赤い爪が、どういうわけだか最近好きだ。
赤く塗った爪を見ては、うっとりしている。
はて、敬遠していたのはなぜだろうと振り返ると
爪が小さくて似合わないかもしれないし
淡い色の方が似合うんだよね
ハッキリした色って男ウケ悪そうだし
派手な女と思われるかもしれないし
と、まあ、とやかく色んな難癖をつけてトライしてこなかった。
でも、おそらく敬遠してきた1番の理由は、自分を認めていなかった、女性として自信がなかったことだろうと思う。
潔ささえ感じる真っ赤な赤という色は「女性」を感じさせるものなのだと無意識的に意識していた。
赤い爪の女
はっきりとした赤い爪は自分をイケてると妄信している女のものなのだ。
いつからか私の脳裏に植え付けられているそのなんとなくの思い込みは、見たことも、話したこともない、赤い爪の女を頭の中に住まわせ、私はそいつを勝手に毛嫌いしていた。
自分が毛嫌いしている女とお揃いのその真っ赤な赤を、他人に見える爪先に塗って過ごすこと、そんなことはさらさらする気にならなかった。
でも、それがここ最近では、どうしたことか、いそいそと自ら赤い色を選び、それを爪に塗り、そしてお気に入りになった。
それにふと気が付いた時、ほうほう、ああ、やっとここまで自己肯定感があがってきたかと、にんまり実感したものだ。
絶対方程式
そう、私は自己肯定感の低さがゆえ、勝手にこの世の絶対方程式「私はイケテイナイ女=赤い爪は似合わない」を組み立てていた。
よく考えてみれば、実生活で友人が赤い爪をしていたからといって嫌いになったことなど一度たりともない。
なんなら、あー♥きれいだなぁ似合ってうらやましいな…なんて思ってほめたたえていたと思う。
そう、本当はうらやましかった、あの例のイケてる女が。
私もイケてる女になりたかった。赤いマニュキュアを塗りたかった。勝手な方程式を作りだし、赤い爪を選んでこなかったのは紛れもない私なんだ。
世間という知らない「誰か」「大勢」の目を気にして、身を潜めて嫌われないように、攻撃されないように、ひっそり生きてきた。
(いや、本人がそう思っているだけで、浮いていたかもしれないけれど。)
上手く生きてるつもりが、自分の個性や感情、意思さえ殺していたことには気が付きもしなかった。
よちよちと歩き出した35歳
それが、あるとき、自分の置かれた環境に絶望し、離婚という道を選び、自分は自分で幸せにしてやるんだ-!と決意して、私はようやくプハーと息を吹き返した。
ワタシはワタシであって良い、ワタシらしく生きよう。
それからやっと自分の人生を歩み出したのだ。この世に生まれてから35年経っていた。それまでの私も嘘ではない。でも、これからはもっとワタシらしくて良い。自分を見つめて、認めて、やりたいことにトライしていくんだ。
とはいえ、今まで自分の願望を無視し続けていたから、「自分」に超鈍感になっていた。急に今までと違う行動なんてできないものだ。
少しずつ、少しずつ、ほんのほんの小さなことから初めてみた。
他人にどう見られようと私が着たいものを着るのだと、内心お尻ぷりぷりで恥ずかしいなと思いながら、ピタピタのスキニーパンツを恐る恐る履いた。誰にも何も言われなかった。
今度は、これまたプリケツ万歳のタイトスカートをどやさぁと着た。ちなみに補足しておくと、私のお尻は日本人はなくラテン系のゴールデンバランスを保持している。純日本人だけど。ぐぬぬ。
それから、自分の大好きなコーヒーを丁寧にドリップしてあげることにした。ドリッパーを買い、ケトルはちょっと良いものを選んだ。途端に家がこだわりの隠れ家カフェになったようで気分が舞い上がった。
赤い爪の女の本性
少しずつ少しずつ自分の好きややりたいことを認めてあげているうちに、今度は私のことをまるっと認めて大切にしてくれる人に出会った。こんなご時世に、本当に運が良い。しかし、これは確実に自分が変わりはじめたからだと思った。
もう私を否定する人、傷つける人はそばに置かない。
むしろ、ふと顔を上げたら、そこには味方になってくれる大好きな人ばかりがいた。自分を信じることで、どんどん周りの人も信じられるようになった。
そうして「あ、やってみよ♪」を大切にしているうちに、インスタで見かけた綺麗な赤いジェルネイルの写真を見て、いつの間にかさらっと爪を赤く塗っていた。
自分がまさに赤い爪の女になってみてわかったのは、あの女は、「私イケている!」と妄信しているわけではなく、自分の「やりたい」をちゃんと大切にできている女だった。
なろうと思えば何にだってなれる。行きたいところに行ける。まずは、それを自分が許可してあげること。いらない絶対方程式なんて捨てればいい。
もし貴女が、自己肯定感が低くて…と感じていたり、たとえば、誰かになんだかイラッとしたり、昔からなんか嫌い!と感じていることがあれば、それと向き合ってなんでだろう?と掘り下げてみると良いと思う。
それは、貴女の無意識な思い込みや価値観を紐解くヒントでありギフトなのだ。
さあ、どんどん自分のやりたい♪を許可して、変化を楽しんでいこう。