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結婚報告に向かう途中、緊張しすぎた夫の珍プレー。


結婚することになったら、お互いの両親に報告に行く。

よくある話だ。

私の両親はやや堅苦しいところがあり、初めにしくじると後々面倒なことになりそうなタイプ。

それで、結婚の報告は直接出向いてちゃんとしよう、と2人で決めていた。


とある週末(かれこれ十数年前)。

夫が運転する車で、片道2時間程の距離にある私の実家に向かった。

夫はスーツ姿。私も綺麗目な格好をしていたかと思う。

今振り返ると、交際期間が約1年と短かったので、あの時、夫と両親は初対面だったような気がする。

夫はとても緊張していたようで、喉が渇く、と、水をごくごく飲んでいた。

「多分、反対されることはないよ。」と伝えていたが、バシッと挨拶し、きちんと許可してもらいたい様子の夫(若い)。

ただ、飲み過ぎた水のせいでトイレが近くなっていた。

高速道路を走っていたのだが、降りるインターチェンジまであと少し、というところでトイレ休憩をすることにした。

こじんまりしたPA(パーキングエリア)だった。

私はトイレに行く必要がなかったので、車内で待つ。

しばらくして、夫がトイレから出てきた。

あれ?

見ていて、何だか違和感がある。

あ!

赤いマーク?!


なんと、スーツ姿の夫が、女子トイレから出てきたのだ。


夫の名誉のために書いておくが、この時、このPAには、私たち以外誰もいなかった。もちろん、トイレにも。


車内に戻った夫に尋ねる。

ーーねえ、今、女子トイレから出てきたよね?

夫「えっ?!」

一瞬考えて、夫はこう言った。

「でも、男用の便器あったよ。」


どゆこと?



あ!もしかして?!




そう。お分かりだろうか。

女子トイレには、幼い男の子を連れて入れるように、小便用の小さな便器がある。


そうそう、こういうの。


それまで女子トイレに入ったことのない夫は、その小さな便器とは「お初にお目にかかります」だったのだ。


その事を説明する。

夫「あー!だからか。なんか低いなーと思ったんだよ。」

笑いを一生懸命こらえる私。


ーーねえ、でも、さすがにこれはおかしいなと思わなかったの?

夫「いや、思ったけど。田舎にはこういうタイプもあるのかな~と思って。」


もうだめだ。爆笑。


それに、夫だってめちゃくちゃ田舎育ちだ。


緊張しすぎて、男子トイレかどうか冷静に確認しなかったのだろう。


面白いんですけどー!


ーーいやでもさ、誰も入って来なくて良かったよね。


ほんとだよ。

危うく、結婚どころか痴漢と間違われて通報されるところだった。



でも、私はその時思った。

この人の、こういうポンコツなところが面白くて好きなんだ、と。


夫との初対面の時、なんだか爽やか過ぎる気がして、私には合わないな、と思った。欠点があまりない、出来杉くんみたいな人に見えたのだ。

でも少しずつ知っていく度に、そうでもないことに気付く。

今となっては、どうしてその欠点許しちゃったのよ、と思うこともなくはないが、それはお互い様だろう。

未だに初対面の人には、「若くて爽やか」、「真面目で誠実そう」、「愛されて幸せだね」と言われることがあるが、それは外面ソトヅラがいいからだと私は知っている。

実状は…結婚生活あるある、ということで。

もっと外でもポンコツな面を全面に出した方が面白いのになと思うが、プライドが高い夫は人前ではそれをしない。

知っている人は知っているし、私の苦労も分かってくれている。

まあ、それでいいのだ。

ポンコツなところも、何もかも含めて家族なのだから。



デパートの女子トイレで、小さな便器を見かけてふと思い出した話。




ちなみに、その後、実家でバシッと挨拶し、父から「娘をよろしく頼む」と結婚の許可を得た夫。

ほっとしたところで、私はその珍プレーを話題として提供し、皆で笑った。

夫は恥ずかしそうにしていたけれど、場が和んだし、両親もますます気に入ってくれたんじゃないかと思う。

今思い出しても笑えるので、私にとってはナイスプレーだ。



書きながら、ちょっと、さだまさしさんの「雨やどり」を思い出した。素敵な曲。



※画像、動画お借りしました。



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**2023/4/24追記**

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