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現代の結婚が上手くいかない理由は|傲慢と善良

読んだのは少し前ですが、かなり刺さったこちらを紹介。

傲慢と善良/辻村深月(朝日文庫)

あらすじ

婚約者・坂庭真実が姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。「恋愛だけでなく生きていくうえでのあらゆる悩みに答えてくれる物語」と読者から圧倒的な支持を得た作品が遂に文庫化。《解説・朝井リョウ》

感想

※一部ネタバレを含みます!

いやあもうリアルすぎて刺さりすぎてとんでもない小説ですねこれは…。
途中読むの辛くなってきて、もうやめてー!!それ以上言わないでー!!って叫びたくなる位でした(笑)

自分は婚活はしてないけど、昔長く付き合ってた元彼に振られた後、次の彼氏を早く見つけなきゃ!!と合コン街コン人の紹介などいろいろやってた時期を思い出して、まじで胸が痛くなりました…。これ今まさに婚活中!って人が読んだら死ぬんじゃなかろうか(白目)
帯に書いてあった、「人生で1番刺さった小説との声、続出」という言葉は伊達じゃなかったなと。

第一部は、急に姿を消した真実を探す中で明かされていく過去が不穏すぎて、さながらミステリー小説を読んでいるような気分でした。
善良と思えた真実の傲慢な部分がじわじわと炙り出されていく過程は本当にゾクゾクして、第二部では真実視点で本当のことが語られていく様も、すごく面白かったです。構成が神。

特に読んでて辛かったのは、架が金居と会った後ショッピングモールで真実に思いを馳せるところと、架の女友達から真実の話を聞くところ。
ショッピングモールでは、真実の心配をするよりもまた一からかと思ってしまった、という感情、わかりすぎてつらい…。
女友達はかなーーーーり腹立って、なんだこいつら!!と思いながらも、でもこういう人たちいるよなあ…とか、気持ちもわからないでもないんだよなあ…とか思ってしまった。
この2つのシーンを読みながら、自分にも傲慢なところがあるんだなと気付かされてさらに辛くなりました泣
あと私も無意識に自分や他人に点数をつけていたんだなとこれも傲慢さを感じて以下略
改めてこの世の中、善良な人間より傲慢な人間の方が圧倒的に多いんじゃないかなと。

いろいろあったけどでも、最後2人が再会してからのストーリーはめっちゃ感動して、初めて小説で泣きました、、
人間みんないろいろあるけど、それを抱えながらも幸せに向かって歩き出す、そこもリアルですごくいいなあと思いましたね。

朝井リョウさんの解説もめっちゃよき。
同世代の女性にはぜひ読んでほしいと思いつつも、怖くて進められない、そんな小説(笑)

心に残ったフレーズたち

現代の結婚がうまくいかない理由は、『傲慢さと善良さ』にあるような気がするんです
この人のこの、気負わない鈍感さに、夫であるけど違う人間であることに、これから何度救われるのだろう。
真実の両親にも、うちの親にも、何も言わせない。それに、友達も家族も関係ない。これは、僕と君の問題だよ。

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