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がんばり屋さんというレッテル

少し前に「レンタル何もしない人」が話題になりましたね。
その名の通り、「何もしない人」を貸し出します、とTwitterで募集していました。最初は無料、現在では有料にしたようですが、好調みたいです。
1人でカフェに入れない人、花見の場所取りとか様々な依頼が来ているようです。

どんな方か存じ上げないので、勝手に私が思ったことを書きます。

私が最初に思ったのは、
"何にもしないってすごいな"でした。
ただ存在するだけでいいって、案外難しいんじゃないかなって。
例えば、カフェの付き添いに呼ばれたとします。一緒に黙っているのがツラくなって、つい色々話しかけたり、余計な世話を焼いたりしそう。
「注文しますか?すみませーん」
って私から店員を呼んだりしそう。

雇われているからには何かしなければって思ってしまうからです。

そこまで考えて思ったのが、

最初から「何もしない」って掲げるからできるっていうことです。

依頼人は「何もしない」ことをわかっていて依頼します。だから、公然と何もしないことができます。

「何もしない」に許可が下りる感じ。

思い出したのが、私の小学生時代の通知表。
今は違うと思いますが、私の時は通知表に生活態度とかその子の人となりを判断する欄がありました。
私はいつも「がんばり屋さん」って書かれました。
これ、めっちゃイヤだったんです。
私から見れば"人より劣るからがんばらないとできない子だけど、がんばって努力している"って言われている気がしました。
母にも「がんばり屋さんで偉いね」と言われるわけです。
そうなると「がんばり屋さん」でいるために、がんばろうとします。
ずっとがんばってなきゃ、誰にも評価されない気分。

「がんばり屋さん」というレッテルが自分に貼られたから、それを貫こうとする感じです。そして、ダラダラする自分は自分じゃないからと許せなくなります。

でも、本当は「怠け者」なんだって、自分のことを思っているから「がんばり屋さん」はツラかったんです。

だったら、早々に諦めて「怠け者」ですって公然と自分にレッテルを貼ればよかったんだけど、できなかった。
怠けるなんて、怒られると思っているから。学生の仕事は勉強なんだから、勉強しない子は役目を果たしてないとかって。

白雪姫と7人の小人の中で、小人にはそれぞれキャラがあります。
おこりんぼはいつも感情的だし、ねぼすけはいつも眠そうです。

でもこの小人が「おこりんぼなんて名前はイヤだ!」って急に言い出して、おこりんぼは口角をヒクヒクさせながら無理に笑っていたり、ねぼすけが妙にシャキッとして直立不動になっていたら?

その様子を見ているコチラまで、なんだか苦しくなります。
「…あの〜、大丈夫?怒ってるんでしょ。いいよ、怒ってくれて」
そう言いたくなります。

私たちはつい、社会や親とか色々な理想キャラはコレだ!と作り上げ、その自分であろうとしてしまいます。
だから、ストレスが溜まるし、不自然です。

でも、7人の小人のように、ごきげんキャラだけでは物語は面白くないです。
おこりんぼも、ねぼすけも、みんな必要です。
人に冷たい人も優しい人も、頑固な人も柔軟な人も、いい加減な人もキチンとしないと気が済まない人も、どんな人もいていいはずなのに、ダメ!って烙印を押してしまいます。

自分の本当のキャラとは違うキャラに必死になろうとするのを諦める。
このキャラも存在していいんだ。

「レンタル何もしない人」は、社会に受け入れられないと思っていた自分のキャラを諦めて受け入れるっていう、自分の勝手に作ったブロック解除の一つの方法だなぁって思ったんです。
レンタルしたことで、自分を必要とする人がたくさんいることを知ります。
それまで否定したものが肯定に変わる。
もちろん批判もあるんだろうけど、100%否定が70%でも肯定に変わるって大きな変化です。

誰もが、本来のキャラ丸出しで生きたら楽しいのにって思います。

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