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【エッセイと短歌】カジュアルお抹茶
茶筅(ちゃせん)と実家からもらった織部焼きの器。これが今の私にとって、寛ぎ時間の最良アイテムである。
慌ただしい毎日が過ぎていく。街も人も時間も、人生も。果たして、目の前の一つひとつの出来事を慈しんで、味わって、尊ぶことを、毎日一体何人の人が実践できているのだろうか。
とにかく、今は周りが目まぐるしく変化して、何もかもが忙しい。疲れる時代なのだ。
さまざまな雑念を振り払う、精神統一のための休息は現代人には絶対に必要。休息にもいろいろあるが、大人は休日のひとり時間が本当に貴重なのだ。
捻出した休息時間をどう使うか。
私は生活の中に〝お茶〟を取り入れた。本来なら、敷居の高い〝お茶〟だが、日常的に、家庭で抹茶を楽しむためには、堅苦しいお手前云々はさておく。今なら一回分に小分けされたスティックタイプの抹茶もあるので、使い切りで気軽に始めやすい。
日曜日や休日の早朝、起きてすぐに窓を開け、外気を取り入れる。陽の光を浴び、お湯を沸かし、茶を点てダイニングでお抹茶をひとり頂く。ササッと、台所で立ったまま、抹茶を点てることもある。
最近は、缶入りの、少し高級な抹茶を少量買って濃茶と薄茶を両方楽しむ。良いお茶は、濃茶にしても、渋みが少なく、抹茶特有のまろやかな苦味が美味しく味わえる。茶の産地で選べば京都。頭の中で、過去に行った京都の名所を思い浮かべながら、一服する。
朝に抹茶を点てる、飲む、たったこれだけだが、なかなかよいリセットタイムになる。16世紀に全国統一を果たした豊臣秀吉や数多くの日本史に残る先人たちも、茶の文化を大切にして嗜んだ。
抹茶は英語にすると「Green tea」。色も香りも心を落ち着かせ、リラックスさせる効果がある。からだにも良い。
時間の流れが早いからこそ、あえて意識して日常の一コマをスローにしてみる。日本の茶文化を気軽にキッチンから始めてみることで、新しい人生の扉を開く名案が浮かぶことに期待する。
香り立つ抹茶の風味染みとほる
朝のひととき我が世と思ふ
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