ノルマンディのクマ
オンフルールの朝市で
パッチワークのクマを作っている
マダムを見かけて
胸がいっぱいになった。
随分前に、彼女から
2つのクマを買ったからだ。
ひとつは日本の祖母へ、
もうひとつは夫の祖母マミーへ。
まだ若かった私たち夫婦には
子供がいなくて
このおばあちゃんふたりは
少女のように
ぬいぐるみや人形を集めていた。
この夏私は、娘と共に
日本の2人の祖母に会うことができた。
そして2年前の夏に逝ったマミーを
よく思い出した。
クマのぬいぐるみと同じく、私は
マミーを日本に連れて行ったことが
あったのだ。
海を超えたおばあちゃん達の出会いは
忘れられない思い出だ。
さて私の3人のおばあちゃんと同じように
やはり器用に黙々と
ぬいぐるみに針を刺していた
このマダムは、
どんな人生を
送ってきたのだろう。