研修のすゝめ
November 11, 2020
11月に入り、秋もいよいよ深まってきました。食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋...。秋はじっくりとものごとに向き合うのにぴったりの季節でもあります。
さて、本学では構成員のほぼ全員が「研修」と名のつくものに、自主的にであれ、義務であれ、参加したことがあると思います。(たとえば夏に行われた情報セキュリティ教育はテストに合格しないと学内WiFiの使用を停止されるペナルティ付でした)一方で、職場での「研修」や「自己研鑽」には、ちょっと「意識高い系」の響きもあるのではないでしょうか。ましてや、長期の海外研修なんて言ったら、野望のかたまりかもしれません。
サンフランシスコ州立大学では、オフィスでのポジションや年次に関係なく、自身のスキルに関連する自己研鑽に励むことは「ふつう」でした。仕事をしながら修士号や博士号の取得を目指すことも珍しくありません。みんなの意識が高く、仕事愛にあふれた職場だから?
決してそんなことはなく、仕事へのやる気も十人十色。けれど、学歴社会のアメリカでは、学位や資格に応じて仕事のポジションが決まります。日本のように、組織が従業員を育ててくれるというよりも、自分で成長しようとしないと給与も上がらず、うっかりするとクビになる。積極的に自身のスキルを磨いているのは、組織のためというよりも、自分自身のためです。
本学は、他の国立大学に比較しても、研修制度が豊富。多くの研修制度は業務の一貫として扱われる上に、本学が全額または一部を負担してくれることがほとんどです。たとえば、本学も毎年職員を送り出している米国研修(モンタナ州立大学での2ヶ月間の学生生活+アメリカ国内の大学での8ヶ月のオフィスインターン)は、2018年度当時の本省予算で約4500万円。当時の研修生は全部で11名だったので、単純計算で1人あたり約409万円のコストが国から投じられていることになります。滞在費等が本省から支給されるほか、研修中は本学からも給与が支払われます。アメリカに行く前に、心身を鍛えるため(?)本省での出稼ぎ期間があるものの、莫大なお金とプライスレスな時間と環境を与えられる機会はそうそうあるものではありません。アメリカでも、日本の大学の研修制度の太っ腹さに驚かれることはしばしばでした。
2020年もあと2ヶ月となり、今年できたことやできなかったことを数えはじめている人もいるかもしれません。今年始めようと思っていたあんなこと、行こうと思っていたあの場所、会おうと思っていたあの人...。コロナの終わりを待っていたら、いつのまにかもう11月!です。
今日はノー残業デーです。働く者として、組織は利用されるものではなく、利用するもの。今日は業務は早めに切り上げて、秋の夜長に仕事や働き方について考えてみるのはいかがでしょうか。
*Suits (2011-):NYを舞台に「ハーバード卒」が条件の法律事務所で繰り広げられる弁護士ドラマ
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(写真:モンタナ州立大学)