Strong and Invincible
February 24, 2021
この数日ですっかり気温が和らぎ、春の気配が近づいてきました。日本では春は始まりの季節。卒業と入学を迎える学生だけでなく、教職員も巣立っていく人と新しく仲間入りする人の多い時期になります。
ところで、先日の日経新聞にソフトウェア企業のサイボウズがこんな全面広告を出していました。「多様性に関するお詫び:弊社の取締役が3人のおじさんだった件について」。サイボウズは「働き方」や「多様性」をキーワードに事業を展開している会社ですが、現在、自社の取締役全員が同じ性別だそうで、それについて「恥ずかしい」ため、次回の取締役候補は社内公募制とする、という株主総会の宣伝です。経営層が「おじさん」であること自体にはもちろん罪はありませんが、全員一律のバックグラウンドである状況に、会社として一石を投じたようです。
私がアメリカでインターンをしていたサンフランシスコ州立大学の学長は女性でした。また、その前に2ヶ月間在籍していたモンタナ州立大学の学長も女性でした。日本の旧七帝大の総長は全員男性ですが、アメリカのIvyリーグ(東海岸の名門私立大学)は8大学中、3大学の学長が女性で、5大学の学長が男性です。西海岸では、スタンフォード大学の学長は男性、UCバークレーの学長は女性です。生物学的な性別は男性と女性の2種類なので、聞いたことのある有名大学のトップの性別が男女半々に近いのは、自然なことかもしれません。
先週(2021年2月)の国会で、日本企業のトップの同質性について国会質問があり、西村経済大臣は「強い危機感。若手、女性、外国人、多様な人材を登用していくなかで、豊かな発想でチャレンジしていくことが重要」と答弁しました。組織に多様な人が必要なのは、もはや「機会均等」のためではなく、多様性そのものが、組織を強くするために不可欠なものだからと言えそうです。
昨年亡くなったオーストラリアの歌手ヘレン・レディは、70年代のヒット曲「I am Woman(私は女)」で「I am woman, hear me roar(女性だって黙っていない)」と歌いました。来月3月8日は国際女性デーです。イタリアではミモザの日とも呼ばれ、男性から女性にミモザの花を贈る習慣があるのだとか。
今日はノー残業デー。どこかの国の組織委員会の、会議時間と構成員の性別の科学的な因果関係は見出しにくいですが、本学の会議は性別やポジションに関係なく早めに切り上げて、ミモザの開花を待ちつつ、今夜は家でミモザのカクテル(か、オレンジジュース)を楽しむのはいかがでしょうか。
*サイボウズ:多様性に関するお詫び(広告:2021年2月18 日 日本経済新聞)
https://livedoor.blogimg.jp/takeda_cfo/imgs/0/8/0871a4fc.jpg
*国連事務次長ら、森発言を機に「行動を」と共同宣言(2021年2月18日 朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASP2L4TK6P2LULFA002.html
各界のリーダー42名が、多様性のある社会をつくるために共同宣言を出しました。メンバーには本学の藤井次期総長も名を連ねています。
*名古屋大学
https://education.joureikun.jp/thers_ac/act/frame/frame110000008.htm
名古屋大学では、2019年度から、教育研究評議会の評議員のうち女性が2割を下回らないようにすることを規則に定めました(旧七帝大で初めて)。
*I am Woman(映画Sex and the City 2より)(YouTubeなので音が出ます)
https://www.youtube.com/watch?v=ZBkoJLclZkk
(写真:サンフランシスコ州立大学)