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どこでも車椅子で移動できるには

June 3, 2020

季節はあっという間に6月になり、なかなか遠出はかなわないものの、休日は近場を散歩して気分転換している人も多いのではないでしょうか。また、今後のお出かけに向けて、地図やGoogleマップ上で空想の旅をするのも楽しいものです。
先週のバリアフリー支援室からのバリアフリーメールマガジン(2020/5/28号)で、Googleマップの機能に車椅子対応の状況が追加されたことが紹介されていました。車椅子対応の入り口やバリアフリーのトイレ、駐車場などをGoogleマップで確認できるそうです。

アメリカは、バリアフリー対応(Accessibility)の先進国と言われます。車椅子については多くの建物にスロープが備えつけてあり、バスや電車といった公共交通機関もノンステップに対応。たとえば、サンフランシスコはホームレスの多い街ですが、言葉を選ばずに言うと、路上で生活する人にも車椅子ユーザーはめずらしくありません。そのくらい、路上もバリアフリー。アメリカには1990年に成立したADA法(障害を持つアメリカ人に関する法律:Americans with Disabilities Act)という強い法律があることが背景の1つで、アクセス権(移動することの権利)が保障されています。法律的には「どこでも車椅子で移動」ができる国と言えるかもしれません。

米国研修の同期には、電動車椅子のユーザーがいました。彼女は身体的に両足と片腕を動かすことができませんが、モンタナ州での2か月間の事前研修を一緒に過ごし、それぞれアメリカ国内各地のインターン先に移った後も、数名で一緒に国立公園をめぐるロードトリップをしました。グランドキャニオンにはスロープがあり、モーテルでもベッドの高さを低くして対応してくれます。

けれど、アメリカもすべての設備がアクセシブルなわけではありません。予約していたモーテルの Accessible Room(バリアフリー部屋)が、耳と目が不自由な人には対応していても、車椅子には対応していなかったり、景勝地も、道の途中まではスロープがついていても、絶景ポイントには環境保全のために路上の舗装がされておらず、車椅子では通れない場所も多々あります。
設備には物理的な限界があるため、ホテルと話したり、砂利道で力持ちの友人が筋トレの成果を発揮して2人がかりで電動車椅子(平均32kg)ごと本人を持ち上げて歩くことで、一緒に「どこでも車椅子で移動」がかないました。
たしかにアメリカは、日本に比べて非常に多くの場所がバリアフリー。けれど、バリアは環境設備だけではとりはらえきれないことを知りました。

今日はノー残業デーです。一朝一夕ではスロープは設置されませんが、まわりを見渡すと、駅で杖をついているおじいちゃん・おばあちゃんや、階段でベビーカーとスーパーの袋で手がふさがっているお母さん・お父さんがいるかもしれません。
だれかに手を差し出すには、まずは自分にエネルギーが必要。今日は仕事を早めに
切り上げて、筋トレでもして、心身をリフレッシュしましょう!

*Google Accessibility Places機能
https://japan.googleblog.com/2020/05/google.html

*アメリカの国立公園 (National Parks) のバリアフリー対応
https://www.nps.gov/aboutus/accessibilityforvisitors.htm
アメリカの国立公園は生のままの大自然そのものですが、身体に障害があっても障害のない人と同じ体験ができることが目指されています。

(写真:Grand Canyon)

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