割り勘のアメリカ人、立ち止まる埼玉県民
November 17, 2021
11月も半ばとなり、街の景色もすこし早めのクリスマスに衣替え。華やかな季節が近づいてきました。ホリデーシーズンはわいわいと(ニューノーマルな形で)パーティをしたり、世の中もきらびやかになります。
クリスマスに年末年始とこれから贈り物をする機会も増えますが、日本ではもらったプレゼントは「開けてもいい?」と聞いてそっと包みを開くことや、その場では開けずに大事に持ち帰ることもめずらしくありません。一方、アメリカではプレゼントはその場でオープンするのがマナーなのだとか。わたしもサンフランシスコ州立大学での最終日、オフィスでのフェアウェルパーティ(送別会)でもらったプレゼントをそっとしまおうとしたら、「なんで開けないの?」というみんなの視線。アメリカではその場でうれしさいっぱいに豪快に包みを開けて中身をお披露目するのがスタンダードのようです。
パーティでのお作法のちがいはお財布にも。日本では職場関係の食事ではオフィスでの役職によって金額に傾斜をつけて精算することも多いですが、アメリカでは勤務歴に関係なく割り勘が一般的。どうやらオフィスの組織体系が背景にあるようで、多くのアメリカの大学のオフィスはフラット制。上意下達的なピラミッド制ではないため上下関係という感覚が薄く、担当者の裁量と責任のもとで仕事を進めます。「上に立つ人」の数が少ないため、お財布事情も傾斜で支払うという発想はあまりないようです。
ところ変わればお作法は変わりますが、オフィスカルチャーでフラット制と対極にあるのが、たとえば日本の中央省庁。文字通りの官僚制ですが、文科省では係ごとに上下関係の役割がはっきりと区別されていました。本学の場合は国立大学の中でもフラット制に近く、チームリーダーのもとに複数の部下が直接ついています。たとえば起案については、担当者が起案し、チームリーダー、副課長、課長といった決裁ルートが一般的ですが、文科省では、係の末席(一番下)からはじまり、次席(下から2番目)、係長、課長補佐、課長とピラミッドをひとつひとつのぼり、意思決定に携わる人の数が多くなっています。
組織体系のちがいは役職名にも表れていて、文科省や他の国立大学では課長”補佐”が置かれていることが多いようですが、本学の場合は”副”課長や”副”事務長が一般的です。
ところで、日本にはエスカレーターでは左側(関東式)に立ち、右側は歩く人のために空けるという習慣があります。一方、10月から埼玉県では全国で初めてエスカレーターを立ち止まって利用することを促す条例が施行されました。急いでいるときにはついつい小走りしたくなりますが、小さいこどもやお年寄りにも配慮した条例です。
さて、きょうはノー残業デーです。定時で退勤する日ですが、帰宅ラッシュの中でもエスカレーターでじっと立ち止まる人がいたら、「マナー」を守る埼玉県民。ぜひ心に余裕をもって一緒に立ち止まってください。
*朝日新聞:「エスカレーター歩かないで」 埼玉県が条例施行 まだ右側歩く人も
https://www.asahi.com/articles/ASP9Z6VB5P9ZUTNB008.html
埼玉県の駅や商業施設のエスカレーターにはコバトン(埼玉県マスコット)が「立ち止まろう」と呼びかけるステッカーが貼られています。
*Suits(2011〜)
https://www.amazon.co.jp/SUITS%EF%BC%8Fスーツ-シーズン1-字幕版/dp/B00I2IZEM6
アメリカのオフィスがどこもフラット制というわけではなく、業種によってカルチャーの違いも。弁護士事務所は「新人は20時で帰るな」の文化のようです。
*益田ミリ「47都道府県女ひとりで行ってみよう」(幻冬者文庫)
https://www.amazon.co.jp/47都道府県女ひとりで行ってみよう-幻冬舎文庫-益田-ミリ/dp/4344416600
Go toトラベル再開はまだ先のようですが、次の旅行の予習に。「東京」にはわれわれの職場も登場します。
(写真:真っ白でフラットな景観が広がるニューメキシコ州ホワイトサンズ )