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その一歩で未来が変わる

朝、子どもが「行ってきます!」と元気よく玄関を出ていく。バタバタと登校していく足音を背に、私はリビングへ向かう。まだ少し冷たい空気が残る中、こたつに滑り込み、湯気の立つコーヒーを一口飲み、パソコンの電源を入れる。「今日も頑張ろう」と心の中でつぶやきながら、MacBookを開きキーボードに手を置く。

画面には、クライアントからの依頼内容が表示されている。「SEOを意識して、レギュレーションに沿った内容でお願いします」というリクエストに応えるべく、頭の中で文章を組み立てていく。

この時間が、今では私の日常となった。できることを最大限に活用して文章を作ることが仕事となり、収入につながり、自分自身の小さな自信にもつながっている。
しかし、数年前の自分がこの姿を見たら、きっと目を丸くして「そんな未来が本当に来るの?」と驚くはず。

私は6年半、Web記事の校正業務に携わってきた。文章に向き合う仕事は好きだけど、校正を仕事にしている現状と、「Webライターとして書くことを仕事にしたい」という思いとの間で揺れ、モヤモヤした日々を過ごしていた。
自分の言葉で文章を書いて届けたいという思いを胸に秘めつつ、「私にそんなことが本当にできるの?」という不安ばかりが先立って、なかなか行動に移せなかった。しかし、Webライターになるという夢は諦められない。

そして、子どもたちを見守りながら、自分の「書く力」で収入を得る仕事を見つけたいという思いだけで動き出す。

一歩を踏み出した瞬間は、正直とても怖かった。しかし、「校正で培った知識と経験がある」「読者の視点を意識できる」という6年半の校正経験が私の背中を押してくれた。

初めて合格したテストライティングは「簿記資格の魅力について」という内容の記事だった。1000文字のテストだったが、何度も書いては消し、見直しを繰り返した。リビングの机には関連書籍とふせんが散らばり、ボールペンでメモを取る音が響く。何度も何度も書き直し、完成した記事を納品する際、Enterキーを押すときには不安しかなかった。「これで大丈夫?」「プロのライターと比べたら全然ダメなんじゃないの?」と不安で胸がいっぱいだった。

数日後、クライアントから返信が届いたとき、ただただホッとした。「テストライティングの内容よかったです」という言葉を見た瞬間、心の中は安心で埋め尽くされた。「ライターとしてやっていけるかもしれない」と思えたのは、この時が初めてだった。

その後も、失敗は山ほど経験した。テストライティングに落ちたり、構成案にNGが出て大幅な修正を求められたりしたこともある。それでも、そのたびに6年半の校正経験が私を支えてくれた。さらに、クライアントからの「ありがとう」という言葉が、私の背中を押してくれた。

今、私は家でライターとして働きながら、家族との時間も大切にして日々を過ごしている。不安がまったくないと言えば嘘になるが、この一歩があったからこそ、自分で踏み出せば未来は変えられるという自信につながった。

もし、過去の私が今の私に問いかけるとしたら、きっとこう言うと思う。
「一歩踏み出してみて、どうだった?」と。

そして、こう応える。
「怖かったけれど、一歩踏み出してよかった。今までがんばってきた校正の経験と家族が支えてくれたから、Webライターとしてスタートできたよ」と。

これを読んでいる人も、現状や未来に不安や不満を抱えているかもしれない。

でも、大丈夫。これまで積み重ねてきた経験は、きっと未来を支える大きな力になる。一歩を踏み出せば、過去の自分が「ありがとう」と言ってくれる日が来るはず。
その一歩が、未来を変えてくれる。


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KAKU:L(erika) Webライター
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