便秘を「映らないテレビ」に例えたら
中医学の授業をうけていて、わたしが勝手にイメージしたことを自由に書きます。今日は「便秘」を「映らないテレビ」に例えてみます。
テレビのしくみ
ちゃんと映る時
まず、健康な身体の状態を「ちゃんと映っているテレビ」だとして、それがどういう状態かを考えてみます。正常なテレビはどのような状態でしょうか?
テレビはただのボックスです。単体で電源を入れただけでは映りません。まず家にアンテナをつけることが必要。アンテナの向きを調整して、テレビの電波を正常にうけとれるようにし、そのアンテナがうけた信号を室内にしっかりと引き込み、専用ケーブルでテレビに取り込まなければなりません。その上で、テレビの回路が正常に機能して、受け取った信号を正常に画面に映し出す。これら一連の流れがすべてうまくいって初めてテレビはちゃんと映ります。また、テレビをはじめて設置する際にはチャンネル設定もしておく必要もあります。
ちゃんと映らない時
では「映らない時」はどうでしょう。インターネットで「テレビがうまく映らない時、どうする? 何が原因?」などのキーワードで検索をすると、いろいろな情報がでてきます。
例えばテレビの電源が抜けているだけかもしれません。接続ケーブルが抜けていることもあります。リモコンの電池切れのこともあるでしょう。あるいは、リモコンの「入力信号」のきりかえボタンを誤って操作して「テレビ」ではない機器を選んでいるかもしれません。また、アンテナの位置が悪天候で動いたのかもしれないし。昨日の雷の影響で、ブースターの保護回路が働いたからかもしれません。あるいは、めったにないことでしょうけれど、テレビの電波がなにかの理由で止まっている場合もあるでしょう。
いまのテレビはアナログではないので、昭和の昔のテレビみたいに「「うまく映らないから叩いたらなおった!」とかいうようなこと(本体内部の接触不良など)は少ないので、なおさらテレビそのものよりも、システム全体からみて周辺機器をあたっていくことが多いようです。
つまり、テレビのトラブルに対応するには、まず、あらかじめ周辺機器もふくめたシステムの全体がどう機能しているかを知っておくことが必要です。周辺機器の何がどうなるとテレビは映る・映らない、というイメージを複数もっていないと、解決策は見つかりません。
便秘の場合
さて、これが人間の体だったらどうでしょう。
人間の身体は、自然界の空気をとりこみ、食物を食べ、ものすごいエネルギーをつかって毎秒細胞をつくりかえていく、ダイナミックな(動的な)システムです。
だから不調があったときは、システム全体をみて何かが起きているのでは?というイメージを持とうと心がけることが重要だと思います。どこかの具合が悪いということは、人体というシステムに何か好ましくない状況が起きている事を意味します。
便秘も不調の一つです。でも便秘だからといって、直接関係している大腸などの消化器系だけに焦点をあてていると、抜本的な改善から遠のく場合があるかもしれません。
昨日、中医学タメシテミルの相談者のDさんへの回答でご紹介したのですが…
中医学で教わる便秘の種類には、ざっとこのようなものがあります。
中医学の人体のとらえかた
全身が関連するひとつの有機体
中医学では、人体を全身が関連するひとつの有機体として捉えます。身体に問題があれば、局所的な問題か、全体のバランスの乱れが原因か、両方を考えながら病因を追求します。
西洋医学において全体像の視点がゼロとは言いませんが、中医学では、その全体像をより包括的にとらえるため、「気」や「経絡」や「実証・虚証」など、西洋医学ではみあたらない概念のコトバをつかいながらも、まず全体像を定義します。
所詮、中医学も 人間の観察と知恵の集まりですから、自然の摂理を完璧には説明しきれていないだろうとわたしは思います。ただ、そこは西洋医学も同じです。
西洋医学では解決できない問題に直面したり、現代の健康食品の情報にふりまわされていると感じ始めた時、中医学の視点もとりいれると、違うものが見えてくるかもしれない、とわたしは思います。
ちなみにわたしは、西洋医学と東洋医学の両方に興味があり、どちらにも敬意を払っているつもりです。そしてどちらの進化にも期待しています。
参考文献
『実用 中医薬膳学』 辰巳洋・著 東洋学術出版社
『基本としくみがよくわかる 東洋医学の教科書』ナツメ社
※ほか、日本中医学院の教科書とノート