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ゆっくりしない冬


(今回はゆうじさんの文章です)

冬にゆっくり過ごせるのが、雪の多い地域で農業をする魅力の一つ。
その分、春から雪が降るまでは作業が集中するのですごく忙しくなるのですが、ゆったりな冬を励みに頑張るのです。

ただ、この冬はくどの営業を月2日に抑えているにも関わらず、今までで一番ゆっくりしない冬になりました。
実をいうと、1月の中旬から鳥取県の湯梨浜町にある「福羅酒造」さんに研修に通わせてもらっていたのです。

自然栽培と天然菌。

この二つは僕の中で10年以上テーマとして持ち続けていました。
それらを実践するしないに関わらず、両者から学べることは大きいと思っていたからです。

そして紆余曲折あって自然栽培を実践することになりましたが、それだけで一杯一杯だったので天然菌や発酵には手が及びませんでした。
ただただ、天然菌が喜んで発酵したくなるような穀物をつくろう!と歩んできました。

自然栽培を初めて9シーズンを終え、少し落ち着いてきたところに藤原味噌こうじ店の藤原くんと出会うことができました。

天然菌については前々からパン屋タルマーリーの格さんから大きく影響を受けていましたが、藤原くんとの出会いがまた違う角度から天然菌を見つめるきっかけになりました。

菌や微生物は発酵や醸造などの食品だけでなく、自然界のあらゆるところで活動しています。
もちろん田畑においてもそうです。

その神秘的な働きのメカニズムは現代の科学技術においてもすべて解明することはできていないでしょう。
だから僕はその存在のある程度の役割は知りつつも、奥深すぎるが故に人為的にバランスを変えたいと思えませんでした。
さらにいえばあまり知ろうともしませんでした。

でも、格さんや藤原くんから話を聞く度に肉眼では見えない世界に興味が出てきたのです。

そしてゆったりできる冬の時間に、菌の働きが目に見え、耳で聞こえ、味わうことができる酒蔵にいきたいと思い、福羅酒造の社長兼杜氏でもある福羅さんにお願いして通わせてもらうことになりました。

酒蔵に通いだして1ヶ月半経った今、「学びをさせてもらえて本当によかった!」と実感しています。

これを経験するのとしないとで田畑に立った時に感じることは違うと思います。
感じ方が変われば、見える景色も違うし、考え方も行動も変わります。

それが結果としてすぐに出るか出ないかは別問題だし、あまり気にしていません。

「楽しい!」
「もっと知りたい!」

心の中にしぜんとこういう感情が生まれることが一番の収穫だと思うのです。

今年は節目となる10年目を迎えます。

面白い一年になりそうです!

高谷裕治



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