エンタルピーとエントロピーとギブスの自由エネルギー
きっかけは突然に
私の研究室では、よく自由エネルギー(G)をもとに議論します。
先日、研究室のB4の学生さんと話していて、
「研究室配属された当初は、いきなり自由エネルギーとか言われて
パッっとイメージできなかった」
と言われました。
確かに人の記憶は曖昧だ。
私がお世話になっている研究室に配属されてくる学生さんたちは
物理化学を通常はB2かB3かで履修する。
当時はどの研究室に配属されるかもわからないし、
単位をとるためだけのその場限りの勉強や興味のない内容は
綺麗さっぱり忘れてしまっていても仕方ないのかもしれない・・・残念だけど。
私も研究室に配属された時、上手くイメージできずに
物理化学の教本を引っ張り出してきて復習したのを
未だに覚えている。
だからこそ、残念だけど(自分もそうだったし)仕方ない、と思う。
エンタルピー(H)とエントロピー(S)の違い
なんだか名前似ている(2文字しか違わない)し、よく混乱するのかなと思うので、図にしてみた。
エンタルピー:熱の外部へのはたらきによる損失分を取り込んでいる状態量。
⇒ 仕事のことは考えず、熱だけで状態を表すことができる関数。
減ったり増えたりする。
エントロピー:乱雑さを表す状態量。
⇒ 増えっぱなしで、減ることはない。
例)拡散=エントロピーが増大
ギブスの自由エネルギー(G)
よくギブスを省略されて、「自由エネルギー」と呼ばれているもの。
物質がもつ仕事をする能力のこと。
⇒ 物質が化学反応すれば、ギブスの自由エネルギーは減少し、
その減少分だけ外部に仕事がなされる。
ΔG = ΔH - TΔS
この自由エネルギーは、ある条件下において反応が進行するかどうかの指標となります。
例えば、定温定圧条件下での自由エネルギーの変化量が、
(1) ΔG < 0 (⇔ TΔS > ΔH)であれば、反応は右に進行し、
(2) ΔG > 0 (⇔ ΔH > TΔS)であれば反応は左に進行します(右に進行しない)。
可逆反応でない限りは、だいたい反応は右に進行します。
ざっと思いつく限りを書いたけど、また何か思い出したら追加します~