川上未映子 刺繍糸
朝はいつも死にたいくらい動けないので、どうやっても余裕をもって家を出ることはできない。
仕事を終え、電車に乗る前にファミリーマートに寄る。朝日新聞を一部とってレジへ。ペイペイで支払い。郵便関係とちがって新聞は電子マネーが使えることを知った。
ホームへの階段をのぼるとちょうど電車のドアが開くところだった。乗り込むやいなや新聞をひろげ、目当ての面を開く。見開きいっぱいに広がる黄色い紙面、未映子さんのうつくしい肖像写真の眼差しに吸い込まれてしまう。
川上未映子「刺繍糸」。
これを読みたくて新聞を手にとった人がどれだけいただろう。
自分は、とても恵まれている
両親が健在であっても、夫との関係が穏やかであっても、夫婦ともに職があっても、何重にも纏わりつく刺繍糸に気づくことだってあるのだ。
自分は、とても恵まれている
客観的に見つめているつもりがかえって自分を雁字搦めにする言葉。
自分の痛みを主観的に見つめる、そのことを大切にしたい。わたしにはわたしの痛みがあるよ。誰かに「それは痛くない」と言われたとしても、わたしにはわたしの痛みが。痛んでいるいまは難しくても、きっといつか書く日がくる。書きたい。
朝日新聞に掲載されていた全面広告たち。
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