住宅設計者の自分の家づくり 02 ラフプラン
今回はプランニングの初期のお話です。
条件整理
土地の概要は
土地は間口が6.2m、奥行きが12.4mで東西に長い約77平米。建ぺい率が60%なので、最大でも1フロアの面積は46平米程度。(2019年より準耐火建築物で10%緩和が使えるようになりましたが、もろもろの制限を受けるのが嫌なのでこれは使わず)
容積率は160%あるのでこの土地の面積だと一般的には3階建て100㎡以上にするパターンが多いですが、3人暮らしで現在の住まいが69㎡で困ってもいないので階段プラスアルファを考えても85平米もあればじゅうぶんで、これだと2階建てで済みます。(実際は3階建てにすると準耐火建築物になり、構造計算も外注になるためなんだかんだで坪単価が3割近く上がるというのも大きな理由)
この土地がありがたいのは高度斜線が一種という冬至の南中高度に近い規制があるために南側に目一杯建物が建っても二階なら一年を通して安定した日射を得やすいうことがあります。
46平米の総2階建てだと92平米ですが、もう少し小さくて良いので2階の一部を吹き抜けかバルコニーなどで10㎡程度引いても82㎡くらいでちょうどいい。
冬場は1階への日差しは午後まで見込めないのでLDKは2階が妥当で、2階の面積が36㎡程度となるとLDK以外に1室が限界で、そうなると当面自由に使える将来子供室を持ってくるのがベスト、自ずと主寝室、水廻り、収納あたりが1階になります。
要望整理
続いて、要望を整理していきます。
必要な部屋
妻の間取り的な要望
夫婦共通の認識
そこに私のささやかな要望「トレッドミルを置く」を含めてプランを考えます。
ラフプラン
まずはあまり深く考えずに要望を入れただけの案をいくつかつくります。
上下の下が1階で、左のページが最初に描いたものです。(方位は上が北、1マスが455x455想定)
車は持たないので東西にほぼ目一杯使い、手前と奥の南側にそれぞれ小さめの庭。
西側の道路に対しては閉じた感じで玄関は南に面し、土間から直接階段にアクセスするパターンで1階は土間の他に収納(北中央)、水廻り(南東)、寝室(北東)で洗面所や風呂から庭を眺め、風呂と寝室の仕切りはガラスにして寝室からも庭を見れるような感じで考えました。
2階は階段を登って居間、食堂、キッチン、将来的な子供室と続き、中央南にルーフバルコニーがあります。
この案で1階が42㎡程度、2階が36㎡程度で78㎡。
右ページは階段をやや中央寄りに寄せて階段を登ってから西に居間、東にダイニングキッチンという感じで東側の南北方向が3尺増えています。
これだと1階は46㎡で2階は39㎡くらいで85㎡。
こんな感じでブレインストーミング的に思いついたまま何パターンかスケッチし、同時に頭の中で立体を組み立てながらいろいろ考えていきます。
あと、この時点から考えていたのは階段をどう見せるかで、階段の設計は自邸に限らず常に結構な重要度を占めています。
立面も当然考えていますが、この土地を見た瞬間に切妻の姿が浮かんだので、その比率をどうするかを考える程度でした。
次回に続きます。
※この記事は2019年に自社ブログに書いた内容に加筆訂正したものです
竣工後の写真などは下記リンク先でご覧いただけます。
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