劇場版 本当にあった呪いのビデオ100(2023)
アマプラをパトロールしていたら発見したこちらの作品。ほん怖とかほん呪とかコワすぎとか、似たようなシリーズものが多くて個人的にはあまり区別がついていないのだが、こちらは映画系YouTuberさんたちがこぞって絶賛していたので鑑賞。結論、今まで観たモキュメンタリー作品としては過去一面白かったかもしれない。
<あらすじ>
<感想>
映画の感想の前に何も知らない方に向けて前置きを。私もネットで調べたばかりなのだが、「ほんとにあった!呪いのビデオ」シリーズは視聴者から送られてきた心霊映像を紹介していく作品で、なんと1999年から続いているというから驚きだ。心霊映像を紹介するときにお馴染みの「お分かりいただけただろうか」「〜とでも言うのだろうか」というナレーションが恒例となっている(もしかしてこのシリーズが発祥、、ですか?)怖かった時代のアンビリーバボーなどの心霊番組が大好きだった私としては演出がかなりツボ。
本題に戻る。
この劇場版はモキュメンタリー(フェイクドキュメンタリー)になっており、ナレーター兼監督を務める中村義洋氏とスタッフたちが投稿映像について調査していくストーリーだ。
まず、このようなタイプの作品は、通常のフィクション作品よりもなおのこと俳優の演技力が大切である。CGを駆使したド派手な演出がある映画ならこちらもエンタメ作品として消費しようとするが、モキュメンタリーでは現場の臨場感が何よりも重要であり、視聴者がまるで本物のドキュメンタリー作品を観ている気持ちになる必要があるのだ。その点では今作に出てくる演者さん(特にメインキャストの方々)の演技はとても自然で、やらせ感がないのが非常に良かった。通販番組のインタビューのように言わされている感があると一気に冷めてしまう。
映像を観たスタッフが次々と怪奇現象に見舞われるという展開はややありきたりではあるのだが、ホラー好きは思わずにっこりしてしまう安心感がある。何かが写っていそうで写っていない、出てきそうなのに出てこないといった、Jホラーが最も得意とする演出方法を多く取り入れているところも素晴らしい。よくあるPOV映画のように手ブレ全開でギャーギャーと逃げ回る系ではなくて、あくまで取材映像なのでプロのカメラマンが同行撮影しているし、派手すぎる演出もないところが淡々としていて逆に怖かった。
そして本作のハイライト。問題の映像が収録されているVHSを探して廃墟に潜入するシーン。ここが本当に怖くて、今にも何かが飛び出してくるんじゃないかという恐怖に画面を直視できないレベル。登場人物たちの背後などに目を凝らしてしまうし、急に振り向いたりするともうそれだけで身構えてしまう。結論を言うと何も襲ってこないのだが、後で撮影した映像を見返すと「ばっちり写ってますね」というオチ。スローモーションでのリプレイなどを使用し、まさに本シリーズの本領発揮である。
この映画に出てくる廃墟やアパートもそうだし、呪怨やミンナのウタにも出てくるような昭和チックな日本家屋のじめっとした不気味さはすごい。襖や畳に人のさまざまな怨念が染み付いているかのような、、。この気持ち悪さは洋ホラーのお屋敷では出せないものだ。日本人だから余計に怖いのかもしれないが。
ちなみに問題である投稿映像もお祓い済みという体で全て観ることができる。やり過ぎていないのにとても不気味で気色悪い(褒めている)映像になっている。
久しぶりに怖いホラーを観た。ジャンプスケアに頼らず、雰囲気だけでここまで怖がらせる手腕は流石だと思う。アマプラで見放題配信中なので興味がある方は是非ご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。