悪魔の餌食(2022) 捻りの効いた新感覚エクソシストムービー!
Amazonプライムビデオのお勧めに出てきたため鑑賞。有料レンタルだが300円弱で安かった。「子供+悪魔」という散々使い倒されたシチュエーションながら斬新な設定で面白い。はぁ満足。
エクソシストを養成する学校に通うシスターが主人公。悪魔に取り憑かれた少女との出会いを通して自らの人生が大きく動き出すというストーリー。まさかの養成所というシチュエーションと時代設定が現代であることが大きな特徴だ。学校の設備はところどころハイテクなのに悪魔祓いの手法は同じ。聖書と十字架を握りしめ悪に立ち向かう。
悪魔に憑かれた少女の描写は本格的だし、ジャンプスケアも効果的に使われていて私は何度か飛び上がった。ちゃんと怖くて脚本も面白い。悪魔系が好きな方にはぜひ観ていただきたい作品だ。
<あらすじ>
↑あらすじ短いので補足に。日本語字幕ないですが雰囲気だけでもどうぞ↑
〈感想〉
※ネタバレ匂わせあり※
世間では悪魔憑き事件が多発しており、人手不足に悩んだ教会がエクソシストを養成するために新たな学校を用意する。そもそも女性のエクソシストは一般的ではないが、母親が憑依された経験を持つシスター・アンはここで学ぶことを強く希望した。繰り返し出てくる幼いアンと悪魔に取り憑かれた母親の映像。目を背けたくなるような母親の奇行に映画への期待は高まるばかりだ。
精神科医の診察を受け医学的検査をしてもなお症状の説明がつかない患者たちは、悪魔憑きを疑われこの学校に収容される。ここで生徒たちの練習相手となりながら実際に悪魔祓いを受けるのだ。ちょっと可哀想な気もする笑。映画内では”ターミナル”と呼ばれているが、要はめちゃくちゃやばい状態になった患者は本場バチカンに移送されるらしく、ここにいるのはまだ軽度の被害者のよう。
アンは好奇心ゆえに規則を破りがちなやや勝気な女性。ここでナタリーという一人の少女に出会う。悪魔祓いの実践練習でナタリーと対峙したアンは不思議な繋がりを感じるのであった。
座学に演習にと生徒たちは実践的な悪魔祓いの方法を学んでいく。実際に憑依された人を相手に行う演習では、スピーカーから聞こえてくる教官の指示通りにいざ悪魔祓いを実践。緊張感のある演習の後では「いや〜さっきのはなかなか大変だったなぁ」と飲み物片手にプチ打ち上げ。なんだかハリポタのホグワーツ感があって面白かったw
アンの送ってきた人生はなかなかにハードだ。まず幼い頃から母親が悪魔に憑依されており、事あるごとに豹変する母親に怯える生活を送っていた。やがて母親は自殺。里子に出されたアンは、15歳の時に泥酔した勢いで知らない男性の子供を妊娠出産。子供は養子に出し自分は修道院へ。そこからシスターとしての道を歩んできている。さて勘の鋭い方ならきっと何かに気づいただろう…
毅然としながらも深い愛情でアンを支えてくれる教官や精神分析医、同級生の神父など、周囲の人物がとにかく良い人だらけ。特に若い神父のダンテはアンの悪魔祓いの失敗により妹を失ったが(依頼した方も悪いけどね)、以降もずっとアンの味方をしてくれて命懸けで助けてくれる。めちゃくちゃ頼もしかった。そしてそしてナタリーに憑依していた悪魔がアンに乗り移り大ピンチに陥った際、救いの手を差し伸べてくれたのは紛れもない母親だった。母は最後の瞬間まで悪魔に争い必死に理性を保とうとしていたのだ。そして愛する娘をこれ以上傷つけないために自ら命を絶ったのである。胸がじーんとしました。
その並々ならぬ能力を評価されたアンは、教会から正式に奨学金を受け取って本格的な悪魔祓いへの道を歩み始める。アンを送り出す際に教官が言った「用心しろ。君が悪魔を知れば、悪魔も君を知る」という言葉が印象的だった。「深淵もまた〜」のやつだ。そして映画終盤、移動中のタクシーの中で早速この世のものではない何かに囲まれるアン。慌てて十字架を取り出すところでエンドロール。続編で今後のアンの活躍が観たいな。
大好きな悪魔系の映画で当たりを引くことができて個人的にはとても嬉しかった。ところどころ目新しい設定はあるけれど、かと言って突飛すぎない絶妙なバランスが素晴らしい。私のようなオカルトファンはなんだかんだ定番の演出を求めていたりするので「現代では聖書はAIの自動音声に読ませます」とかだと不完全燃焼なのだ。聖書片手に十字架を額に押し当ててホーリーウォーターをかけないと駄目。そういう意味で今作は悪魔系映画の要をしっかり押さえてくれているので優等生と言えるだろう。
レンタルする価値は十分にあると思うのでぜひイヤホン大音量でご覧ください。…飛ぶぞ(物理的に)。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。