心霊写真(2004)/まっすぐ怖い王道タイ産ホラー
後に問題作である「女神の継承」を生み出すこととなるバンジョン・ピサンタナクーン監督の作品。タイ本国では大ヒットを記録し国民的ホラー映画となったようだ。設定からストーリー展開、驚かし方までコテコテの定番通りだが、私は視聴中に何度も飛び上がってしまった。ジャンプスケアが多めで正直物語に深みはないのだけれど、こういうびっくり系ホラーが観たいときもある。ちなみに劇中に出てくる心霊写真は全て本物とのこと。霊障にはご注意を。
ついでに、とんでもなくヤバいこちらもどうぞ。
〈あらすじ〉
〈感想〉
※軽いネタバレを含みます※
長尺のほん怖を見ているような感覚になる映画。BGMや効果音で「くるぞくるぞ」と教えてくれて、大きな音とともにショッキングな映像が一瞬うつる。こういう映画こそ誰かと一緒に観たいよ。映画全体の重苦しい空気感や、主人公に怨恨があって襲ってくるという設定はJホラーにも通ずるところがあり親近感を覚える。
主人公タンに嫌がらせをしてくるのはネートという女性の怨霊。このネート役の女優さんのルックスがこの映画の怖さに大きく貢献している。
タンは大学時代、周囲から変人扱いされ孤独だったネートを気にかけ二人は恋仲となる。しかしタンは友人たちに馬鹿にされたくない思いから、いじめられていたネートを庇うことができず、なんとネートが集団レイプされていても見て見ぬふりをしてしまう。やがてネートはタンの前からひっそりと姿を消し、死んで怨霊となった彼女は、写真に映り込んだり誰かに乗り移ったりして少しずつタンに近づき始める。映画終盤では完全体というか、そのまま彼女が追いかけてくるので、貞子とか伽耶子とかその辺りと同じ扱いになるだろうか。
甘いルックスのタンはなかなかの無責任男。一時的にネートに優しくするものの、彼女の全てを受け入れる器は持ち合わせていなかった。今カノのジェーンはもったいないくらい良い彼女だったのだが、タンの過去が明らかになるにつれ二人の仲にも亀裂が入っていく。主人公に原因があるタイプの映画は好き嫌いが分かれますよね。レビューでも「タンがクズすぎる」みたいな意見が圧倒的に多い。
ネートの亡骸をしっかり火葬して全て片付いたかと思いきや…。ずっと首が痛いと言っていたタン。ラストでその理由が判明する。印象に残る良い終わり方だったと思う。まだ気にかけてくれるジェーンは本当に優しい。
血は絵の具みたいだし時代を感じる部分もあるにはあるが、何も考えずにぎゃーっと怖がれる映画を観たい時にはお勧め。
韓国、台湾、タイなど昨今盛り上がりをみせるアジアンホラー。私が生きているうちに再びJホラーが世界を震撼させる日が来ることを願ってやまない。切実に。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。