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楡
2022年11月30日 23:46
なにか声のようなものが現実を連れてきて閉ざされた音の世界に入り込む。 それが、だんだんと同じ言葉を繰り返しているように聞こえて、目を開けてヘッドホンを外す。それはのんちゃんが私を呼ぶ声だった。 なーにー?どこ?お風呂?と返しながらベットから下りて風呂場に向かう。 少し戸を開いたのんちゃんが、濡れて、一層艶めく白い肌を覗かせた。そして、わたしの目を見て部屋から化粧
2022年12月1日 14:33
上着を羽織ってスマホと財布だけをポッケに突っ込み家を出る日曜日、しかも天気が良いのにも関わらず近所の古本屋に行く途中にある公園には人ひとりいなかった。公園が寂しそうに思えて、自販機で暖かいココアを買い黄色いベンチに腰掛ける。今日は何にしようかな古本屋の外に置かれた棚の中で文庫本が窮屈そうにしているところを思い浮かべるクリーム色の外壁には1冊100円と手書きで書