秘密のホットチョコレート🇪🇸
カカオの発祥は、紀元前3300年頃のエクアドルと言われている。
2000年以上続いたと言われる、マヤ文明を含むメソアメリカ文明圏(南アメリカ中南部)で、神様の食べ物カカオは、通貨代わりに用いられたり、宗教儀式などで用いられたり、大変貴重で高価かつ神聖なものとして大切にされてきた。
そんなカカオを手に入れながら約100年にも渡って、こっそり秘密にしつつも、甘〜い「チョコレート」を誕生させるきっかけを作ったのが、大航海時代のスペイン🇪🇸
首都へ行けば、今でも当時を彷彿とさせるような、ビターで極上のホットチョコレートを楽しむことができる❤️
海を渡ってチョコレートがやってきた!
チョコレートといえばヨーロッパ、ヨーロッパといえばチョコレート。これはもう、切っても切り離せない関係。
と、思っていたけれど、ヨーロッパにチョコレートがやってきたのは、意外に最近。じゃがいもやトマトなどのアメリカ大陸原産の野菜や、各地の香辛料が世界中に広がり始めた大航海時代の真っ只中、1500年代半ば頃なんだそう。
元々新スペイン(スペイン植民地時代の南アメリカ大陸)で嗜まれていたカカオが、どのようにスペインへ伝わったのか、正確な日時や経路は分かっていないけれど、貿易や人の流れを通じて王侯貴族だけが楽しめる特別な飲み物として、カカオは密やかにヨーロッパの歴史に登場した。
甘くなかったチョコレート、スペインが変えた!
新スペインにおいて、カカオの品種改良が施されたことで生産量が圧倒的にアップし、大衆的な飲み物となったチョコレート飲料。
アステカ人は、その冷たく苦味の強いチョコレート飲料を薬や栄養ドリンクとして愛用していたそう。
新スペイン流チョコレートは、カカオをドロドロになるまで引き潰したものにとうもろこし粉やスパイス、バニラなどを加えて作った、今となっては考えられないような、かなり苦味の強い飲み物だった様子。
良薬口に苦し🥹
ところが、植民地である新スペイン住み始めたスペイン人はたちは、この苦味の強さが気に入らなかったらしく、チョコレート飲料に泡立てたはちみつや砂糖、温めた牛乳などを独自に加え始めた。
これが甘く、熱い「ショコラトル」の始まり。
※甘いショコラトルの始まりはスペイン本国に渡ってからという説もあり。
反発を買うかと思いきや、アステカ王は1日50杯もショコラトルを飲んでいた(!)という記録すらあるそうなので、甘いショコラトルは新スペイン人にとっても感動的な1杯になったに違いない。
絶対行きたい♡3つ星シェフのチョコホテル
スペイン・ジローナにある、こちらの「Casa Cacao(カーサ カカオ)直訳・カカオのお家」は、チョコレートショップを擁する全15室のコジーなホテル。
本気のカカオを求めて、聖なるカカオを奉る南米アルアコ族の村まで足を運ぶほどカカオに魅せられたオーナーのジョルディさんは、ミシュラン3つ星レストランデザート部門のヘッドシェフでもある。
そんな彼が手掛けるホテルでいただく厳選ブランチ、デザートや飲み物にはふんだんにカカオが取り入れられており、現地の食文化「神様の食べ物としてのカカオ」にもしっかり敬意が払われているため、文字通り至高のカカオを「体感」することができる。
品質については言うまでも無く「最高」と大絶賛する口コミが多数。
最大限にカカオ本来の香りや味わいを引き出すために45℃で低音焙煎された「本物」のカカオを味わい尽くすことができる、ヨーロッパチョコレート始まりの地スペインにふさわしい究極のカカオホテル、ぜひ行ってみたい。
原点回帰する、世界のチョコごはん
すっかり甘い食べ物として定着しているチョコレートだけど、甘くせずに食事に取り入れる動きも活発になっており、日本でも料理に活用しているのを見かける機会が増えてきた。
こちらは、先のゴールデンウィークに一夜限りで開催された、明治主催のカカオを使ったフルコースディナー。
「金華豚のサルシッチャ95%カカオエスプレッソの香り」「生ウニとカカオのリングイネ」などなど、よう分からんけどすごそう🥹!な料理が目白押し。もはやカカオは甘いだけじゃない。
まるでカレーなチョコごはん、「ポジョデモーレ」@メキシコ🇲🇽
唐辛子の祖国、南アメリカ大陸にあるメキシコには、タコスだけでなく伝統的な食文化に根差した料理もたくさんあり、チョコレートを使ったごはんも各家庭で楽しまれている。
石臼でひいた数種類の唐辛子となどの香辛料と一緒に鶏肉、チョコレートを煮込んだ伝統料理、「ポジョデモーレ」も有名だ。
見た目はまるで長時間煮込んだ欧風カレーのように濃厚なブラックチョコレート色で、お米にかけていただくのが定番。一体どんな味なんじゃろ?
カカオ×和食=前衛フレンチ!?「MOSUKE」@フランス🇫🇷
ミシュラン1つ星を獲得しているパリの人気レストラン「MOSUKE(モスケ)」。
店舗名も「日本ぽい名前にした」という、和食が大好きなアフリカ系フランス人シェフMoryさんがアフリカの伝統料理のテクニックも駆使して作り上げたカカオの新世界。
ウナギ×カカオ、ごはん×カカオ、驚きだらけの前衛フレンチを五感で楽しむことができる。
約100年も!秘密にされていた門外不出のホットチョコレート@スペイン
カカオと砂糖やミルクを組み合わせる大発明をしたスペイン。
新スペインから献上されるカカオを使ったショコラトルの人気ぶりは本国でも凄まじく、王族や上級貴族が密かに楽しんでいた。
カカオは貴族同士の婚姻において持参金の役割も果たしていたため、なんと100年近くに渡ってショコラトルの存在やレシピはスペイン国内で秘匿されていたのだそう!なんてこった!!
政治外交や政略結婚を経て、イタリアやフランスに漏れ出したチョコレートは、17世紀に入ると瞬く間にヨーロッパを席巻し、一大チョコレート革命を起こすことになる。
マドリード発!老舗「Chocolateria San Gines(チョコラテリア サン ヒネス)」
そんなスペインチョコレートの歴史を垣間見することができるのが、1894年創業の老舗「チョコラテリア サン ヒネス」だ。
スペイン国王も愛するチョコレート&チュロスショップ。クラシックな雰囲気の店内には、よく見るとナオミ・キャンベルさんやマラドーナさんなどなど、国内外の有名人の写真が貼ってあり、その不動の人気ぶりが伺える。
名物は何を差し置いても、コップに溢れんばかりに注がれた、た〜っぷりと濃厚なホットチョコレートと長さ約20cm、直径約3cmの大ぶりな揚げたてチュロス!
なんでも、マドリードっ子の至福は一晩中飲み明かしてからのこの朝チュロスをホットチョコレートに浸して頬張る瞬間だそうで、宿泊していたホテルのマダムにもめっちゃ勧められた。
なんてみんなウラヤマシイ生活をしてるんだ!!
老舗で楽しむクラシックな「ホットチョコレート&チュロス」
ところで、パリのホットチョコレートと言えば「Angelina(アンジェリーナ)」。
「名物だから」とモンブランとショコラ・ショーの両方を注文すると、人智を超えた甘さに軽い天国が見える。
チュロス×チョコレートも危ないんじゃないの?と内心ドキドキしていたけれど、サンヒネスのホットチョコレートとチュロスは、どちらもかなり甘さ控えめなので、心配は杞憂だった。
トロりを通り越してドロりという効果音がぴったりな感じの濃厚なテクスチャーのチョコレートは、「ショコラトルはこんな感じだったのか知しらん」と思わせるビターなカカオ感。〆めに飲んじゃうのがむっちゃわかるぜ……!
こんなドロ系のホットチョコレート、フランスとかでは逆にお目にかかれないのでは?
チュロスもチョコレートに、ひったひたに浸けるために存在するとしか考えられないような大きさ、食感、形状。これは進む🥰
スペイン流に(?)帰ったら寝るだけの予定にしておけば、もう天国ww
飲んだらチュロス、チョコレートも飲もう
近代チョコレートの始まりを華やかに感じることのできる、濃厚な一杯だった。
スペインへ来たらバルを巡って朝チョコ(又は深夜チョコ)、これに限る。
Chocolateria San Gines(チョコラテリア サン ヒネス)
住所:Pasadizo de San Ginés, 5, Centro, 28013 Madrid, スペイン
営業時間:月〜水 8:00〜24:00
木〜日 24時間営業!
電話番号:+34 913 65 65 46