クロワッサンのご先祖様とくるくるパン🇭🇺ブダペスト名物のように語る🥐
中央〜東ヨーロッパに来たら絶対に食べたい菓子パン、それは「kürtőskalács(キュルテーシュカラーチ)」(以下「くるくるパン」と言う)。
かなり高確率で焼き立てが食べられ、アツアツほかほかのそれは、暴力的なほどに魅惑的なモチふわ食感、止まらんぜ。
焼き菓子の祖国ハンガリーでは、ついつい、わんこくるくるパンしてしまう。
あのお菓子のご先祖様もハンガリー!?
フランス語でブリオッシュやクイニーアマンなどの菓子パンを指す「Viennoiserie(ヴェノワズリー)」、直訳するとウィーン風。
この「ウィーン」はオーストリア=ハンガリー帝国時代の首都ウィーンを指すので、ハンガリー文化も多分に含まれている。
ブダペストにはウィーンに負けず劣らずのカフェや焼き菓子がたくさんあり、クロワッサンやシュトゥルーデルのご先祖様はハンガリー発とも言われている。
日本で有名な王室御用達のお菓子と言えば、ベルギーのヴィタメールやウィーン・デメルのザッハトルテなどが挙げられるけど、ハンガリーにもジェルボーのジェルボーケーキがある。
キフリ→クロワッサン
サクサク食感にバターの香りが芳醇な、いくつでも食べてしまえるフランスのパン代表「クロワッサン」。
オスマントルコに勝利した記念に、トルコの国旗の三日月を象って、オーストリア=ハンガリー帝国の首都ウィーンで三日月型のパンが作られたのが始まり。
という説がメジャーだが、ハンガリー語で捻りや三日月を表す「キフリ」というパンが、クロワッサンの元祖という説も有力だ。
甘辛、どちらでもいただけるという万能なキフリは、パンの歴史とブダペストの朝食を語る上で欠かすことはできない。
レーティシュ→シュトゥルーデル
サクサクの層のように折り重なった生地に練り込まれたバターの濃厚な味わいが特徴的なパイと、幾重にも積み重ねた薄い生地の軽やかな食感そして甘さが衝撃的なバクラヴァの、中間にあるのが「シュトゥルーデル」。
アップルパイならず、りんごを薄ーい生地でくるんでサクッと焼き上げたアプフェル・シュトゥルーデル(ドイツ語)は有名だが、そのご先祖様は「レーティシュ」という、ハンガリーのお菓子だとも言われている。
世界初のレーティシュが焼かれたのは、記録に残っている限り15世紀頃。シュトゥルーデルは17世紀、ウィーンにて。
シュトゥルーデルとしてはりんご入りが人気だけど、ハンガリーで人気なのは、パプリカの次に彼らが愛してやまないポピーシード味!
その偏愛っぷりは、パスタにポピーシードと砂糖をぶっかけて主食にしてしまうほど。
ハンガリー人とは切っても切り離せないフレイバーなので、迷った時はポピーシード一択で。
くるくるパン、kürtőskalács(キュルテーシュカラーチ)
暖炉のそばで醗酵させておき、10分ぐらいトロ火で炙り、たっぷりのシナモンシュガーやココナッツを満遍なく振りかけていただく、くるくるパンことkürtőskalács(キュルテーシュカラーチ)。
語源は「kürtős=暖炉の」、「kalács=(菓子)パン」。
直径は約12cm(中は空洞)、高さは25cmぐらいとなかなか大ぶり、食べ応えはばっちり。
「せっかくブダペストまで来てるんだし、今日こそくるくるパン以外のものを食べよう!」と思うんだけど、見たら買っちゃうんだよなぁ、これが。
トランシルバニア発のお祭り菓子
昔はハンガリー、今はルーマニアにあるトランシルバニア(位置が動いたのではなく国境が変更された)のお祭りで焼かれ始めたのがくるくるパンの始まり。
中央〜東ヨーロッパで、現在もお祭りと言えばくるくるパンだけど、日本でいうと屋台の綿菓子みたいな立ち位置なので、お祭りの時以外はそんなに頻繁に見かけない国が多い。
そんなハレの日の食べ物である貴重なくるくるパンの常設ショップが、圧倒的に多いのがここ、ハンガリーのブダペスト。
駅前など、街中の至るところにひと坪ぐらいのくるくるパン屋さんがあり、随時焼き立てを提供している。
作り置きを注文しても良いけれど、やっぱりくるくるパンは焼き立てが命なので、作り置いてないフレーバーを注文すれば10分〜15分程度で焼き立てくるくるパンを手に入れることができる。
ラインナップは6種類ぐらい、定番はバニラ!
くるくるパン、ラインナップはどこの店でもだいたい6種類ほど。
シナモンシュガー
ココナッツファイン
チョコレート
ココア
バニラ
ウォールナッツ
焼き手さんによってもっちり感などが絶妙に変わるので、人気のお店は人が並んでいることも多い。
私はdeak ferenc ter駅の乗り換え通路の中にある、くるくるパン屋さんが好き。
ソフトクリーム入り……だと!?進化系もあり
ソフトクリームを入れたものなども現れて久しく、季節問わず1年中売られており、ちょいちょい歩き食いしている人を見かける。
構造としては、くるくるパンのおしりをすぼませてコーンに見立てた形になっていて、そこにソフトクリームが入っている。
サイズは普通のくるくるパンよりもひと回り〜ふた回りほど小さい。
「美味しいもん×美味しいもん、めっちゃ美味しいでしかないわ!」
と、勇んで食べ始めるも、ソフトクリーム入りのパンの宿命である。ものすごくすぐ溶ける。
それでもパンはもっちり系で、かなりしっかり腹に溜まる系なので、すごいスピードでは食べられない。しかも分厚い割にもろい。
必然的にソフトクリームまみれになることになるので、個人的には「ソフトクリーム、入ってなくて良かったナァ」と思った。
早食い出来て量もいける猛者のみが楽しむ資格を持っているようだ、羨ましい🥹✨
ブダペスト、くるくるパンと生きる
イチオシはバニラ味、外はキャラメリゼされたようにカリっと仕上がっており、中は焼き立ての高級食パンさながらのもちふわ食感🤤
日本人でくるくるパンが嫌いな人は、まず居ないと思う。値段も300円ぐらいとお手頃なので、ぜひ試してみて欲しい。
劣化速度が著しくので、買い置きには不向き。翌朝食べたいなら、労を厭わず早起きして買いに走るべし。
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