西九州新幹線問題解決のために(各整備方式検討~フル規格新幹線と在来線等との両立策)
私はこれまでにも西九州新幹線(九州新幹線西九州ルート・九州新幹線長崎ルート・長崎新幹線)に関する考察を投稿しました。
今回の記事では
現時点での考えや作成した画像等を再編集し、改めて投稿します。従って、上記の記事と重複する内容があることをご了承ください。そして、今回の記事で追加して申し上げる内容もあります。
記事本文
佐賀県をはじめ「関係6者」は武雄温泉以東、フル規格では合意していない →フリーゲージトレインで合意
フリーゲージ直通が出来ないのならば
フリーゲージ合意前の段階に戻った手順を取るべきとのこと
参考になったインターネット記事を引用します↓
こじれる長崎新幹線、実は佐賀県の“言い分”が正しい
杉山淳一の「週刊鉄道経済」からの引用
※2019年05月17日 07時00分 公開された記事です。
以上の指摘等も踏まえ
佐賀県からの合意形成を得るには
並行在来線問題を起こさない(在来線をJRのまま維持・活用できる)方法を取ること
新幹線整備では様々な整備方式(5択)が出ているので再検討した上で改めて整備方式を決めること
以上のことが必要では
この問題意識に基づき、自分なりに整備方式(5択)を再検討してみたい
一般人レベルでも再検討する意識を創るのが必要だと思ったため
整備方式検討1:リレー方式
他の整備方式に決まるまでの暫定的方式であることが望ましい
理由:
リレー方式での固定だと交通基盤への整備投資が緊縮的で佐賀→福岡博多天神方面に考えが偏る。整備方式5択検討も通じてより広い範囲の維持活性化を模索することが大切だから。
例えば、
最終的にフル規格に決めるとする場合、並行在来線地域への対策として駅の新設や在来線と路線バスの接続・連携などの策を取り、並行在来線地域の利便性対策を取ることもできるが、リレー方式で固定してしまうとそのような策もなく衰退する懸念もあります。
整備方式検討2:フリーゲージトレイン
説明を画像で行ないます。
※投稿後追記事項等がある際は追加します。
補足説明:
新幹線昼行列車のように列車・車両数が多くなる使い方、今は難しいと思います。また、元々交通インフラ投資をケチるための方法でもあるので、フリーゲージに傾倒するのは正直好ましくないです。
画像内に書いたような非日常で周遊的な列車など、客単価の高く列車・車両数が限られる使い方から実用化していくと良いと思いました。そのような列車の一種の付加価値も上がるでしょう。より非日常感を体験できますので。
個人的には
●在来線同士では
・食事提供型観光列車(運行コースを定期的に変えられるような列車)
●新幹線ー在来線間では
・周遊観光列車(信越本線廃止区間などを通行)
・夜行列車(長崎ー西九州新幹線ー久大本線ー大分ー宮崎方面)
などで使用できないものだろうかと考えました。
整備方式検討3:フル規格新幹線車両の在来線直通
補足説明:
フル規格車両を在来線に直通する区間と線路構造物を完全に新設するフル規格の区間を組み合わせるような方法もあって良いと思います。なお、今回の個人的想定では
肥前山口(江北)駅―佐賀駅間を上記の在来線直通区間とすることも想定しています(後述)。
整備方式検討4:スーパー特急
考察や提言の要点:
西九州新幹線の全線をスーパー特急とするのではなく、部分的な区間を暫定的に「スーパー特急」方式として線路構造物を新規建設、その後フル規格車両が走れる線路を繋ぎ合わせ最終的に全線全区間でフル規格車両が直通できるような「段階的な整備」を行なう。
「一気にフル規格」というよりも
段階的に整備し最終的に全区間フル規格車両直通
という手法のほうが合理的で合意形成も創りやすいと思いました。
また、「スーパー特急」として暫定的に新規建設する線路構造物は標準軌フル規格新幹線用線路と狭軌在来線線路を並列する手法も採り、新幹線と在来線を共存し、お互いに補い合う関係性を創り出す↓
局所的にスーパー特急方式で線路構造物を新設し、最終的に全線フル規格にするのも一つの方法と考えます。併せて在来線の維持活用も図る。その段取りの例を図面で申し上げます↓
※こちらの図では肥前山口(江北)―佐賀駅間もフル規格線路構造物を新設する想定で図を描きましたが、
個人的には後述するように肥前山口(江北)―佐賀駅間は在来線にフル規格車両が直通できるよう在来線を改修する方法(標準軌フル規格新幹線車両の在来線直通)を採ることも想定しました。
整備方式検討5:フル規格
考察や提言の要点:
●肥前山口(江北)駅にも新幹線駅設置・久留米駅で鹿児島ルートに合流するルート選定を希望します
●個人的な希望は佐賀空港経由久留米合流です
●先に申し上げたスーパー特急の段階的な整備で最終的にフル規格にするという方法も良いと思います
●福岡(博多)方面だけで無く東九州(日田市など大分県)方面への接続利便性も考慮してほしいです(新鳥栖合流だと ゆふいんの森 等と接続出来ない)
●並行在来線対策として、路線バスとの接続も考慮した駅の新設なども考えました(新幹線と在来線が両立できるために。後述します)
(参考)
西九州新幹線問題と関連し、佐賀空港などに関して考えたことも紹介します↓
↑画像中、下の段の文章は特にスマホでは小さくて読みにくいと思いますので、こちらにも内容の概要を書き足します。
今後全国的な新幹線整備の再、広域的な鉄道である新幹線とJR的在来線を空港間連絡鉄道としても活用していく(必要な区間は路線新設)
→空港間を跨いだ航空便の乗り継ぎも出来るようにする
→地方同士間を結ぶ直行便の就航もし易くなる
今の地方空港国内線の殆どが羽田・伊丹~各地間路線ばかり。鉄道アクセス無い故空港アクセス範囲が狭く最低限の航空便しかつなぎ止められないためだろう。
新幹線等鉄道の空港経由を通じて、これまで関わりの乏しかった地方同士の関わり(特に経済面)を創ると交通需要も増えるし、佐賀・長崎を含めた全国の生き残りにも。
→オンライン・リモートの類いが普及するとしても公共交通網があり、対面交流できる地域でこそ経済取引も生まれる。行くことが出来るということから興味関心が湧き、それがきっかけになるから。
今は在来線新設が難しいとしても鉄道網を広域的に活用する観点を持つのが大事
以上で、「5択」の整備方式に関する個人的な考察と提言を終えます。
一旦はフル規格だけで考えるのを立ち止まり、各自5択に関して再検討する過程を経ることが主に佐賀県側からの合意形成を引き出すことにつながると思います。
5択の検討を通じてフル規格新幹線と既存の在来線を両立・共存できる方法を模索することが大事ではないでしょうか。
次よりフル規格実現のために必要だと思った考え方を申し上げて参ります。(note記事では今まで投稿できていなかった内容に入ります)
西九州新幹線フル規格実現したいならば
整備方式の再検討をすることに加え、フル規格整備がされても在来線を維持出来ることが大切
→新幹線と在来線の両方JRで運行できる様な策を模索し提言すべき
そのためには、佐賀・長崎だけで考えるのではなく鉄道路線網広く見渡す観点もあると良い
鉄道網は単一路線で成り立つものではなく、いくつもの路線が組み合わさることでより価値を発揮するから。新規に鉄道網を敷設するならば既存路線網の足りないところを補強するような新設をし、より広い地域に鉄道整備効果を広げる観点もあって良い。この観点から以下の図を見て頂きたい↓
西九州新幹線の問題においては
天神・博多・本州方面ばかりに関心が偏っている。特に新幹線に否定的な考えを持つ人の場合、
「新鳥栖まで行けば(福岡・本州方面に)乗り換えできる」とも言っている。
しかし、佐賀・長崎から東九州方面に行くという考えに乏しい。
これからは対大都市だけでなく、
各地方や地域同士のつながりを創り出しそこから経済・観光的交流を生み出すことも各地域の維持活性化に必要。大都市一極集中を是正するためにも
このため、鉄道整備のチャンスである西九州新幹線を用いて、佐賀・長崎(西九州)から東九州への鉄道による利便性向上を図る観点から
新鳥栖ではなく久留米での合流を提言したい
個人的には佐賀空港経由久留米合流を主張します
理由1:
長崎駅からの系統を佐賀空港経由にすれば佐世保・ハウステンボス・肥前鹿島からの特急を佐賀駅経由で在来線特急も残せる。つまり、新幹線と在来線特急が重複せず両立できる
理由2:
新幹線の佐賀空港経由は将来的に他の地域の新幹線も沿線空港経由にすることで国内地方航空(空港)と新幹線網を組み合わせ、地方間同士の様々な交流を創り出す基礎にもなる
※筑後船小屋ではなく久留米合流としているのは新幹線の駅数や総延長のバランスを考慮したため
※航空との競合関係を避け新幹線網と連携していくには
●得意とする距離(新幹線は500~800km迄、航空は新幹線等の鉄道では遠すぎる距離)で棲み分ける
●東京・関西以外の地方空港間路線の充実をする(佐賀など九州~東北・四国~東北・北海道など)
国や与党などは佐賀駅経由に拘るようだが、個人的には改めて佐賀空港経由久留米合流を主張したい
今回の在来線維持活用策の前提
ルート選定も改めてやり直す必要があると思われる。なお、2021年11月の試算結果には疑問が残る。
2021年11月22日佐賀新聞の報道
この記事によると、佐賀空港経由だとトンネル建設だけで4070億円かかるとのこと。
だが、どこにトンネルを掘るのか不明(トンネルを掘るような場所は無い)
とはいえ、
個人的にスーパー特急方式を検討した際、
●久留米分岐佐賀駅合流をすると久大本線と直接接続でき、新幹線整備効果がより広がる(佐賀空港経由も久大本線と合流できる)
●スーパー特急の場合、例えば久留米―佐賀間など局所的に新設線路を繋ぎ合わせ段階的にフル規格線路への整備もできる(例えるなら、高速道路が局所的に造られ最終的に全てつながるようなイメージ)
以上のことから
佐賀駅経由久留米合流を想定した在来線活用策を描いてみたい
※ルート(経由地)は 武雄温泉―肥前山口(江北)―佐賀(駅)―久留米 で想定
新幹線と在来線の両立を図るために(1)
どうしても佐賀駅経由になってしまう場合、そしてどんなルート案の場合でも共通すること
→今の在来線に乗り「新幹線と在来線が両立できるような改善策」を模索し、提案する
これを各自行なう
この問題意識に基づき個人的に考えたことを挙げてみます。
●在来線駅の新設・既存駅をより適した位置へ移設
●在来線に並行する路線バスがある箇所ではできるだけ運賃・各種乗車券やダイヤ面での連携
●駅周辺に生活や仕事する施設を集めることを地道に行なう
●在来線普通・快速と新幹線の各駅停車を一定以上の頻度で運行し、両者の接続を良くする
●ICカードによる回数券的割引サービスを再開・充実(無人駅によるサービス低下をある程度補完)
[想定例]
月あたり利用金額2000円利用ごとにボーナスポイント付与
2000円到達時 60p
4000円到達時 120p
6000円到達時 180p
8000円到達時 180p
10000円到達時 200p
これ以降も
2000円到達ごとに 200p
月当たりの利用金額に応じて割引率が増す仕組みで最終的に約10%の割引率で安定する設定に
新幹線と在来線の両立を図るために(2)
新幹線と在来線が両立するために先程のような案を考えました。また、鉄道用語に「緩急接続」「遠近分離」という概念があるそうです。
簡単に言うと
新幹線・特急・快速・普通の間での乗り換え
列車ごとに遠距離乗客と近距離乗客を分ける運行方法
のことです。これを
新幹線←→在来線・特急や快速←→普通・在来線←→路線バスの間で構築する事や、そのような関係性で鉄道網を捉えることも新幹線と在来線が両立するために必要な方法の一つだと考えました。
そして、これ以降では
●在来線駅の新設
●在来線に並行する路線バスとの乗り換え接続の案
この二つを中心に、図面に描いて私なりの考えを説明します。これ以降では画像での説明が中心となりますのでご了承ください。
凡例
佐賀(駅)ー久留米・鳥栖間
補足説明:長崎・佐賀県方面の特急・新幹線列車運行系統の想定
在来線特急
佐世保・ハウステンボス・肥前鹿島―
江北―佐賀(駅)―新鳥栖―鳥栖―博多
新幹線
長崎―新大村―武雄温泉―
江北―佐賀(駅)―(上記新設線路)―久留米―新鳥栖―博多
※個人的な希望は
長崎―新大村―武雄温泉―
江北―佐賀空港―久留米―新鳥栖―博多
※長崎に行かない特急系統を長崎本線新鳥栖・鳥栖経由
長崎に行く運行系統を新設線路経由
とすることで在来線と新幹線(新設線)の両立を図る
※補足 佐賀駅~久留米間について
整備方式検討4:スーパー特急
においても説明したのですが、こちらでも佐賀駅ー久留米駅間の整備段取りを以下に説明します
1・佐賀駅ー久留米駅間を先行してフル規格複線に対応した構造物を造る
2・先に単線で在来線(狭軌)を開業し、普通列車と西九州新幹線長崎方面に接続する特急列車を運行する
3・残りの区間が全線フル規格でつながる段階になった際に、在来線線路と並列して標準軌フル規格の線路を敷き、西九州新幹線全線フル規格へ
という段取りを想定しています。
佐賀駅ー久留米駅間の話をしたので、話題を鳥栖付近に変えます。
以下の図は
佐賀駅~久留米・鳥栖駅のことを考えた際、鳥栖駅付近の路線バスを再編するほか新駅設置などの策を取ることで在来線と路線バスの接続性を高める案を描いたものです↓
肥前鹿島ー佐賀(駅)間
肥前大浦ー肥前鹿島間
諫早ー肥前大浦間
(主に在来線)鉄道とバスの連携・活用
これまで在来線と路線バス停の接続を中心に描いてきましたが、「鉄道と路線バスの接続」を概念図に表しました。↓
終わりに
今回申し上げた提言が西九州新幹線問題解決及び最終的な全線フル規格車両が走れる線路での整備実現に貢献出来れば大変幸いです。
佐賀県にとって西九州新幹線全線フル規格(の線路をつなげる)ことの意義や利点は何かと考えました。それは、タイトル画像に書いたことの通り、
各種整備方式検討やルート選定の再考を通じ
●新幹線(整備)と既存在来線や路線バス、そして空港との両立・共存的活用をする下地を創ること
●ルート選定の工夫で大都市圏以外の地方同士間を結ぶ交通体系も構築すること(大都市一極集中的経済構造からの脱却を図る社会基盤に)
この二つだと思いました。
単に長崎本線に沿うだけのフル規格新幹線新規建設の前提だと、確かに日常生活に必要な在来線の利便性維持への懸念が拭えません。
また福岡市方面の利便性向上だけに考え方が偏るのを改めると、ルート選定の工夫で地方同士(西九州ー東九州・[佐賀空港経由の場合]九州ー四国・本州日本海側など遠方地方)とのつながりを創るきっかけにもなり得ます。
懸案事項(並行在来線問題)払拭と、これまで見逃されて来た可能性を提言することが大事だと思っているので西九州新幹線問題について記事を幾度も投稿した次第です。
関係者から一般の方まで広く読まれることを願い投稿します。
なお、
今回のデータ作成の際に久留米市の「公共交通マップ」を見つけました。公共交通機関の必要性を訴えているページがありましたので、こちら参考資料として添えたいと存じます。
記事本文に入りきれなかった要素
記事の本文ではお伝えしきれなかった内容をこちらで申し上げます。
この記事の基になったPDFデータを公開します。そして、記事本文には入りきれなかった画像等もこちらで公開します。
このPDFデータを皆様にも公開したいと思います。
そして、記事本文には組み込めなかった画像をこちらに公開します。
秋田新幹線秋田~大曲間は狭軌線路と標準軌(但し車両は在来線規格の大きさのみ走行可)が並列しており、それを利用してSLとこまち号が並走するイベントも行なわれたそうです。
単なるミニ新幹線ではなく、既存在来線にフル規格車両を直通できるようにすればこのような企画(イベント)も行えるようになり、活用次第では地域興しのきっかけにもなるかもしれません。