第10回(2024.11.14)の授業のフィードバックから

こんにちは。
認知プロセスを辿る旅も終盤。今回と次回は行動選択についてのお話です。
今回はまず simple reaction time (SRT) と choice reaction time (CRT) を紹介した後に、なぜ20世紀の認知心理学者たちがこれに着目して研究していたかを説明し、Hick-Hyman の法則を紹介しました。
今回のフィードバックからです。

  • キーボードを叩くだけの簡単な作業で人間の情報処理速度を測れるなんて感動した

  • 自分の反応速度を測ることができるのがすごいと思いました。

  • 人間が情報処理速度一定の情報処理マシンのようなものである、というのは少し衝撃的でした。当時の人たちも追試をいっぱい行ったと聞いて、私も当時の人も同じ考えなんだな、と思いました。 WIの話も、体力テストのよーいどんなどをイメージするととても分かりやすいなと感じた。

  •  今日の演習は、とても興味深いものだった。試行間の振れ幅は非常に大きかったが、平均をとってグラフを書いてみると驚くほどうまく線をかけ、人間はかなりブレはあるが情報処理コンピューターと呼べる側面があると実感した。

PCを用いた簡単なミニ実験で、Hick-Hyman の法則を簡易的に確かめてもらいました。自分の情報スループットも求めてもらいました。

  • 自分の情報処理速度を知れて面白かったが、8個に増えた途端に速度が急激に落ちてしまったため、グラフで直線を描くのが難しく、ちゃんとした値が出せたか不安になった。

  • 実際に実験をやってみて、肌感でも遅くなってるのを実感したが4, 8色でタイムもかなり伸びていた。ただ一色と二色はほぼ差がなかったので、それはなぜだろうと気になった。

  • 4色のほうが2色よりも速いなど、ヒックハイマングラフを演習であまり体感できなかったのが残念だった。

  • 1個から2個、2個から4個の場合と4個から8個の場合でRTの変化が一定になるというのは違和感がありました。実際自分は1個から2個、2個から4個ではRTがそれぞれ約45msずつしか伸びませんでしたが、4個から8個の時は約150msほど伸びました。

  • 情報処理速度の計測する実験は面白かった。8文字の時に外れ値を出してしまい値はあまり良くなかった。スピードと正確性はトレードオフになっているというのは日常生活をしていてその通りだなと感じる。

今回やったミニ実験は、実験室でなく教室で行ったかなり雑なしつらえでしたし、サンプル数も少なかったので、何回か外れ値が出るとすぐに影響されます。もっときちんとやるときちんとした結果になるはずです。

  • 反応速度を高めようとすると正確さが低下することが実験の結果からも読み取ることができて良かった。

今回の実験ではそこは見えなかったと思いますが…

  • 人間の思考がコンピューターににているということに驚いた。脳の思考回路はコンピューターで再現することが可能であるということなのかが気になる。

次回は「そうでもない」という反例についてお話しします。お楽しみに。

  • 反応時間を訓練によって短くすることは可能なのだろうか。

  • 今日の実験では8色の時に薬指が動きずらくて反応速度が遅くなってしまった。

  • 認知速度はやはり疲労にもよるなと思った。あと押す指によっても早さがかわるのでそこの差をなくして実験できたらいいなと思った。

  • CRTの実験においてlogNに対するRTが線形でなかった。要因の1つに、あの実験にはCRTだけでなくSRTも関わってくるのではないかと思った。具体的には8つを分類する段階では使う指が8本になり、指ごとの運動機能に差があることが大きく影響するように思える。(単純な疲労もありそう)

はい。次回まさにこのあたりの話が出ます。

  • 実験を通して実際に直線で近似できることを体験できて面白かった。今日行った実験のように、CRTは視覚を通したものが多いのでしょうか。音による判別のほうが反応速度が早いとおっしゃっていたが、これもCRTを用いた結果なのでしょうか。

音(聴覚)でももちろんSRTとCRTは測定できます。

  • 情報理論がある程度人間に通用するというのは感動ものです。やはり体内のシステムも情報を2進で表現しているのでしょうか。 あと、陸上競技では聴覚に入った刺激に対するRTは医学的に100msが限界とされておりこれがフライングの基準となっていますが、短距離では90ms台でスタートを切り失格となってしまったトッププロが少なくなく、アスリートにはこの限界を超える者も当然いるのではないか、と近年フライングのルールが問題視されています。

なるほど。これは知りませんでした。授業では聴覚は約130msと述べましたが、当然色々な人の平均的な値です。トップアスリートは研ぎ澄ますとそこまで行くんですね。

  • 知覚→反応のプロセスから知覚→認知→反応のプロセスになった途端、今頭の中で認知の処理してるなと自覚した。

習ったことが自分の体の中で体感できるのは素晴らしいことです!

さて、今回のフィードバックの中でもいくつか疑問が挙がってきていましたが、次回はHick-Hyman の法則、すなわち情報処理速度一定の考え方からの乖離についてお話しします。お楽しみに!


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