【示門黒ちゃんを愛せよ】『黒と愛』『鏡陥穽』【鏡が怖くなる】
堕天使拷問刑をきっかけに、飛鳥部作品に最近かなりハマっている。
陰鬱とした雰囲気や怪奇趣味に対して、流れるような読みやすい文体がとにかく良い。
そんなわけで当然『黒と愛』と『鏡陥穽』も読んだわけだが、やはりこの独特の”癖”がクセになる。
内容は完全にエログロスプラッタなのに、ただの悪趣味な小説とは一線を画した不思議な魅力がある。
伊藤潤二が好きなら間違いなくハマるだろう。
特に鏡陥穽の方は凄まじい。あれは間違いなく「映ったものをコピーする鏡」の最悪な使い方だ。
ラストのほんのりと後を引く後味の悪さも絶妙だった。
黒と愛は主軸はミステリだが、途中から著者が性癖を抑えられずに色々溢れ出してくる。
トリックはまあバカ寄りで既視感のあるものもあったが、飛鳥部ミステリのトリックは正直オマケみたいなものなのであまり引っ掛からなかった。存分にグロと美少女を味わおう。あくまで示門黒ちゃんの魅力がメインだ。
しかし飛鳥部作品はハズレがない。この後も復刊したやつが全部で4冊くらい届く。
作品数もそこまで多いわけではないので、ここまで来ると全部集めたくなってくる。『誰のための綾織』もどうにか復刊して欲しいものだ。