物々しいタイトルに対して読後感が爽やかな青春小説『堕天使拷問刑』

とりあえずいきなり感想を語ると、この本メチャクチャ面白かったので軽率にオススメしていきたい。価格に目を瞑りながら

『堕天使拷問刑』は、一部界隈でカルト的な人気を誇り、主に入手性の観点で難易度の高いミステリ小説として有名である。
幸いにも、2023年の復刊企画のおかげで現在は中古価格の相場もかなり下がったが、以前として流通量は少ない。

私はメルカリで同時に復刊された他2冊と合わせて10000円で購入したが、正直なところ値段分の価値は十分にあったと言える。

ざっくりとしたあらすじを語ると、両親を事故で亡くした主人公が田舎の親戚に引き取られて残忍な因習と殺人事件に巻き込まれ、さらには村の中で苦境に立たされるという、悪趣味の極みのような内容だ。
しかしながら、主人公がいい性格をしているのと、終始信頼できる友人が味方としていてくれているので、あまり悲壮感はない。

トリックも割と面白かったが、それ以上にストーリーとキャラクターが良かった。
特に江留美麗の平成の美少女感がブッ刺さった。もし私が多感な時期の少女だったら間違いなく影響されていただろう。

同じ作者の『鏡陥穽』も読んだが、この作者は言い回しが衒学的でなく読みやすいので本当にオススメである。

強いて難点を挙げるならとにかく入手しづらい点だ。
さっき見たら書泉オンラインショップですでに売り切れてしまっていた。
次の復刊はいつになるのだろうか。

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