第一回最近読んだ本たちをまとめて語る会

タイトルの通りだ。
もはや一作品ずつちゃんとした感想を書くのが面倒になってしまった。
そこで私は妙案を思いついたわけだ。

ーーー短い感想をまとめて記事にしてしまえば良いのではないか?ーーー

ということで、ここからそれぞれの作品の感想とちょっとした紹介だ。

ディスコ探偵水曜日:舞城王太郎

「第五の奇書」とも称される本作。
以前から気になってはいたものの、中々タイミングが掴めずに泣く泣くスルーしていたところ、メルカリで運良く4500円で手に入ったので遂に読む事が出来た。作品の知名度の割に重版されなくて悲しい。

ざっとあらすじを語れば、迷子探し専門のアメリカ人探偵ディスコ・ウェンズデイが、とある事件を経て身元を引き取ることとなった少女山岸梢と過ごしていたある日、が突然急成長し、人格も未来の梢に変わってしまう。この異変を解決するために奔走するうちに、小説家三田村三郎パインハウスという名の建物で死亡する事件が発生。この謎を解くべく数多の名探偵がパインハウスに集う中、の異変を解決する手がかりを得るためにディスコパインハウスへと向かうが、この事件の推理に失敗した探偵は次々と自殺しており…

何というか、この作品を一言で表すことは私には無理だ。そのくらい壮大な、ミステリーというジャンルどころか小説という枠組みすら越えた、真の意味で「流水大説」とも呼べる内容だった。言うなれば出来の良いカーニバルだ。

ハマれば生涯ベスト小説に入るパワーがある作品なので、興味を持ったら軽率に手に取ってほしい。
なお、事件の解決にロジカルさを求めてはいけない。

殉教カテリナ車輪:飛鳥部勝則

私が最近ハマっている作家のデビュー作だ。
本作は絵画をモチーフにしたミステリーで、その斬新な切り口が上手いこと物語に落とし込まれていて新鮮で面白かった。
絵画のとりわけ図像学について作中で簡易的な説明があるので、その方面の知識が無くても充分楽しむ事ができる。

簡単な内容としては、自殺した画家東条寺桂が遺した二作の絵画に込められた主題とそれを取り巻くとある密室殺人についての謎解きをめぐる物語だ。

同じ作者の他の作品にも言えるが、トリックはシンプルながらとにかく魅せ方が上手い。
そして何より文章が読みやすいので、割と色んな人に布教したいレベルだ。

ちなみに作中に登場する絵画は作者が描いたものである。天は二物を与える。

バベル消滅:飛鳥部勝則

さっきのと同じ作者である。二冊まとめて購入した。
本作も絵画が作中の重要なアイテムとして登場するが、そこまでメインでもない。

簡単な内容としては、島の版画館で警備員として働く風見国彦は、毎日決まった時間に閉館まで版画館を訪れるミステリアスな美少女藤川志乃と出会う。同じ頃、島内では犯行現場に「バベルの塔」の絵画が残される、連続殺人と思しき事件が発生していたーーー

とりあえず言えることは志乃ちゃんが可愛い。
ミステリアスな美少女を摂取したいなら飛鳥部勝則。
多くは語れないがもちろん事件のオチの付け方も良かった。

斜め屋敷の犯罪:島田荘司

御手洗潔シリーズの二作目。前作の占星術を去年読んで以降、ずっと読もうとだけ思っていた作品だ。
変わった建物を舞台としたミステリーという点において、後の館シリーズの原型とも言える。

適当にあらすじを語れば、ハマー・ディーゼル会長の浜本幸三郎が宗谷岬のはずれに建てた、わざと傾けられた建物「流氷館」にて行われたクリスマスパーティーの翌朝、パーティーの招待者のうち一人が死体で見つかる。一同はすぐに警察を呼ぶが、第二の事件発生を許してしまい、警察が東京に応援を要請すると、占い師の御手洗潔と助手の石岡和己がやってくるのだった……

とにかくトリックが派手で面白かった。
ネタバレだけ淡々と語れば恐らくバカミスにしか聞こえないだろうが、この作品はこれで良い。
そもそも斜めに建てられた館の存在がバカみたいなものなのだ。

殺しの双曲線:西村京太郎

書店でよく平積みにされている本だ。
「この小説のメイントリックは、双生児であることを利用したものです。」の一文が特に目を引く。
双子がトリックの中核を担っていても、最初に宣言していればノックスもニッコリである。

内容は至ってシンプルで、東京で発生する双子による連続強盗事件の様子と、クローズドサークルと化した、宮城県にあるホテル「観雪荘」での連続殺人が交互に描写される。

いわゆる「そして誰もいなくなった」リスペクトの作品である。
トリックもだが、十角館の10年以上前の作品であることが驚きだ。同じフォーマットの作品は数多くあるが、年代にも関わらず決して見劣りしない出来だ。


とりあえず5冊ぶん書いたし一旦このくらいで良いだろう。
どうでもいいことだが、近場の書店に国名シリーズが取り扱われていないため、大型の書店まで足を伸ばさなければいけないのが面倒だ。
ちなみに次回の更新は未定である。当然、次が無い可能性も十分にある。

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