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すごいすごい!『ハウルの動く城』の倍賞千恵子、めっちゃ少女じゃん

ジブリって、配信サービスにあがらないせいか長年見逃している作品も多い気がしてる。
私にとっては、『ハウルの動く城』もそのひとつ。

もちろん、テーマ曲は幾度となく耳にしているし、名シーンみたいなものもチラホラ目にしたことがあるはず。だけど、ぜんぜんどんな話か知らない。

今年の私のテーマは「大きな目標は決めずに、小さな未経験を埋めていく」なので、そんな理由からなんとなく観てみることにした。

「格好いいシニアな倍賞千恵子×ふらついたハンサム青年」の相性の良さ

まず、主人公のソフィーが帽子屋で働く若いお嬢さんであることに驚いて(ハウルの魔法でおばあちゃんが若返る話なのかと思っていた)、声優を調べたら倍賞千恵子だったことにもっと驚いた。

私にとって、倍賞千恵子は大好きな映画『ホノカアボーイ』のビーさん。

ハワイに移住したてのふにゃっとした自分探し中な青年に、素敵なお家で美味しいご飯をふるまうシニア女性の役。

この作品の中でも、年の離れたかわいい男の子(岡田将生)に倍賞千恵子が少しやきもきするシーンが見られる。そして、それがたまらなくいじらしくて可愛い。

なんていうか、倍賞千恵子の演じる「おばあさん」って孫がいる所帯じみた感じじゃなくて、自由な精神とか遊び心とか大人の余裕とかをぜんぶ持ち合わせた格好いいシニアな女性なのだ。

顔がハンサムだけどちょっと腑抜けた若い男の子と、生き様がハンサムなシニア女性としての倍賞千恵子の取り合わせってすごく最高。作り手の無意識なフェチに、めちゃめちゃ感謝したい。

スネそびれた大人の女は、スネてる若い男を見ると安心する

なにせリアルタイムで見逃してるのでネットの意見しかわからないものの、ソフィーの若い頃の声としては賛否両論の声が目立っている印象。

私は、冒頭であのうっとりするようなテーマ曲を背に登場した「お嬢さん」をとても品のある話し方だなと感じた。そして、それがおばあさんの姿と同一人物であるキャラクターだと知って「こういう芯のある女性はおばあちゃんになったらこういう声だし、こういう格好いいおばあちゃんって若い頃こんな声だったんだろうな」と素直に思った。

あと、ハウルはキムタクなのにメンヘラすぎてびっくりした。『ロングバケーション』とか『ビューティフルライフ』とかにどっぷり浸かりすぎたせいで、うっかり木村拓哉=格好つけ優男なイメージが先行していた。

でも、メンヘラのおかげでソフィーはあんなに声をあげて泣けたんだと思う。それだけはわかる。

面倒見が良くて、いつも誰かを優先していて、上手く相手の機嫌をコントロールしながら生きてる長女は、完璧な人とずっと一緒にいると長女病による良い子スイッチが加速して疲れてしまう。要は、ちょっとダメな人のほうが安心するのだ。「利用されてる」じゃなくて「必要とされてる」って思えるし。

ハウルのぴえんムーブのおかげで、「もう知らない!」って飛び出してわんわん泣けるの、まじでわかり味しかない。

「あたしなんか美しかったことなんて一度もないわ!!もういやっ!!」ムーブは、女子なら誰しもが毎月1度ホルモンバランスのせいで陥るやつ。もはやデトックス。私もカカシさんに傘さされたい〜〜!

そして、少女心というか、ワガママで支離滅裂で勇敢な小さな女の子としての自分を取り戻すことで恋愛感情に繋がっていくの、以下同文。

「はっきり言ってやればいいの!」と言い切れるのは

「くだらない戦争はやめなさい、私は手伝いません!って」「エェ〜〜!?」のシーン、どこか既視感があると思ったら『海に眠るダイヤモンド』だ。

神木隆之介くん演じるホストの主人公に、同じくシニア女性である宮本信子さんが伝えた言葉とすごく似てる。

「はっきり言ってやればいいのよ」とハッキリ言い切れるのは、酸いも甘いも噛み分けた大人の女性だからこそなのだ。

あと、それがわかるまで、めそめそうじうじ悩むのが若さというものなのだ。

実際のソフィーは若いお嬢さんなわけだけど、どこかヤングケアラーというかアダルトチルドレン味を感じると言うか、「大人にならざるを得なかった子供」のニオイがぷんぷんする。だから、自分の中の少女を取り戻す必要があった。

だから、たまに若い頃の姿に戻ったりするのってそういうタイミングのメタファーだと思ってて、視覚的にわかりやすくするためね!なるほど!って考えてたらこれも賛否両論あってフーンとなった。

反対に、ハウルのメンヘラぴえん男たるゆえんもきっと彼のルーツとか孤独感とか自己愛のアンバランスさにあって、その愛を誰かに向けること=他人を受け入れたり、理解したり、守ることが精神性の成熟に繋がった。

『ハウルの動く城』と『海に眠るダイヤモンド』の構図ってすごく似てる。

そもそも、ハウルを観てみようかなと思ったのも神木くんがマルクスの声を当てている時のドキュメンタリーをたまたま目にしたからだし。

「わしは芋は嫌いじゃ」

かわいかったな〜〜〜〜!!作品は未視聴だったけど、キャラクターとしてはずっとカルシファーが好き。生意気で一途。あと、犬も好き。

犬といえば。サリマン先生の声の人、私のフェイバリットジブリ作品『魔女の宅急便』のニシンのパイのおばあちゃんじゃね…?と思ってたら大当たりだった。CLAMP作品みたいな「魂が同じ違う世界の住民」味を感じて、ちょっとだけゾッ。

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