八千枚護摩供。
真言宗だけでなく、天台宗や修験でも行います。
どこの宗派でもこれは大変な難行。
会い難い機会に会ってお手伝いさせていただきました。
8月に星まつりの行われた星の町のお寺で
7日に焼八千枚護摩供が行われました。
これは、お釈迦さまが成道するまでに8000回の生死を
繰り返して修行・善業を積まれたことから
同じ8000枚の乳木を焼くことでお釈迦さまの修行の功徳に
倣おうというもの。
朝霧の中、お寺に到着。
前日までの予報では雨とのことでしたが
どうやら天気は良くなりそう。
鎮守さまにお参りして、本日の無魔成満を改めてお祈りします。
これを全て焼き尽くします。
徐々に人が集まってきて準備に余念がありません。
行者も最終チェック。
無言行に入っているので、ジェスチャーを見ながら
みんなで言いたいことを推測するあてものゲーム状態。
ちょっと笑って緊張をほぐします。
準備万端。花もきれいに盛りました。
午前8時に入堂。
幸い青空が広がっていますが空気は冷たく、
良い護摩日和です。
法螺の声が秋空に響きます。
中に入りきれなかったり、熱さに弱い方は外でもお参りできます。
承仕が乳木を整えるのを見学したり。
お天気がよくてここはなかなか快適。
太鼓は途切れることなく交代しながら打ち続けます。
助修も交代しながら修法を助けます。
しかし行者は一人で焼き続けます。
6000枚も過ぎると炎も大きく上がり、
僧侶もお参りの方も不動明王のご真言を不断にお唱えし続けて
護摩の火だけではない熱気もどんどんこもってきます。
熱でご本尊の前の蝋燭が曲がりだし、
須弥壇の木材も熱を持ってくるので、時々承仕が濡れタオルで
拭きます。
周りは交代できても、行者は一人。
火の熱さは大変なものです。
承仕は時々冷やしたおしぼりで顔や首を拭きます。
行者は時折口をすすぐことはできますが、断水の行なので吐き出します。
この時は塩も断つのですが、塩を摂っていると汗の塩分が高くなり
護摩の火の熱で火傷する原因となるからだそうです。
7000枚を超えてくると、さすがに本人も周りの人たちも
疲れと熱で所作のスピードが落ちてきます。
折々に法螺を立て、心を奮い起こします。
ずっと同じ体勢をとっているため時々体を動かしたり、
助修が手伝ってほんの少しストレッチ的な整体を行います。
それでも最後になってくると熱さと疲労で動きが鈍ってきます。
この時礼盤から落ちたりしては危険なので、助修が
行者と背中合わせになり姿勢を支えながら真言念誦を行います。
クライマックスはなかなか壮絶。
8000枚を焼き終わり、後半のご供養に入るあたりでは
助修も熱さでかなり疲労がみえます。
周りの真言にもさらに力が入ります。
そして無事結願の作法を終え、お不動さまを讃える声明を行って
長い一座が終わります。
結願直後の行者が不動明王となって、ご参会の皆さまに
お加持を行います。
壇行事が無言行の行者に代わって本日の結願の報告と法話をします。
まだその頃も火は勢いがあり、名残の炎をあげていました。
でも、難行も無事終了。
無事おつとめできたこと、本当にありがたくも安堵の思いです。
不動明王の化身になった行者と記念撮影。
安心して談笑できます。
雰囲気も緩んで、行者の顔にも微笑みが浮かびます。
お地蔵さまもほっと一息。
朝8時から始まって、終わったのは午後4時ごろ。
実に約8時間の長い一座でした。
一日ありがとうございました!
退堂した後おしぼりを配っていただき頭を拭いたら頭が煤まみれ。
つけていた覆子(和紙で作ったマスクのようなもの)も真っ黒でした。
電車に乗ってる間中、不動明王のご真言の幻聴?が
聞こえたりして、なかなか名残も尽きないことでした。
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