秋は豊饒。
今日は21日、お大師さまの日です。
今日から地蔵会のご供養を始めているのですが、
さて始めるぞーと入堂したところでピンポンと。
荷物が着く予定ないけどな~と出ていくと、
なんとぶどうが届きました!
ありがたく早速お供えさせていただきました♪
ありがとうございます!
ぶどうは奈良時代にくすりとして請来されて、
行基菩薩が山梨県の勝浦あたりで栽培を指導した
という伝承があるそうです。
日本の気候にはあまり合わなかったようで、
本格的に栽培されるのは明治以降。
でも、上記の山梨県の勝浦付近はぶどうの
栽培に適した土地だったようです。
勝浦には柏尾山大善寺というお寺があって、
ここのご本尊の薬師如来は
平安時代初期のものですがぶどうを手にした珍しいお姿。
秘仏ですが5年に1度ご開帳されます。
次回は令和5年。ぜひ拝見したいものです。
薬師如来がお持ちということはやはり薬です。
ぶどうは実やぶどう酒も滋養がありますし、
葉も薬効があるとのこと。
奈良時代に伝来ということは、お大師さまが
ぶどうを召し上がったことがあるかどうかは微妙。
唐にいた頃にもしかしたら召し上がっている
かもしれません。
唐の時代には中国にもぶどうは伝来しており、
ぶどう酒についての有名な漢詩もあります。
王翰の涼州詞、素敵な詩です。
これを読むと夜光杯がほしくなりますね…。
また、声明の時に出てきた曹植の兄、
魏の文帝曹丕はぶどうが好物だったとか。
仏教はインドから伝来するときにシルクロードを経ている場合も多く、
その過程で葡萄唐草の文様が仏さまの荘厳として用いられることも
ありました。
日本での有名な例は薬師寺金堂の薬師如来の台座。
見たことのない葡萄の模様にエキゾチックな魅力を感じていたのかも
しれません。
奈良時代の日本人にとって、仏教は外国からやってきた
異国情緒あふれる宗教でした。
仏教を受け入れるかどうかで蘇我氏と物部氏が争い、
蘇我氏が勝利したおかげで仏教が日本に定着することになりました。
以来1400年以上にわたってこの国の宗教的基盤の一つとなっています。
世界地図で見ると日本は東の果て。
陸地を経由してやってきたものは最終的にここに辿り着いて、
そのまま保存されているものも多いです。
日本人は取り入れ上手の新しもの好きな反面、古いものを愚直に守り続けるという
お話をしましたけれども。
正倉院はその最高の例の一つですね。
戦乱の続いた中国では、多くの歴史書や伝来したものが
戦火で灰燼に帰すことも多かったのですが、
亡失した重要な文献が日本で見つかるのもよくある話です。
日本という国は実に、タイムカプセル的に充実したところ。
遠い道のりを経て運ばれてきたさまざまなものが日本に定着し、
豊かに実っています。
仏教もその一つ。
先人たちがしてくれていたように、この豊かさを豊かなまま
次の世代に受け渡していきたいものです。
奈良博の正倉院展は来月10月30日からです。
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