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小説「solec」

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#クーデター

(小説)solec 1-1「プロローグ」

(小説)solec 1-1「プロローグ」

一面の草原は絶えることを知らない。

どこまでも、どこまでも、うんざりするほど。

巨大な大陸と無限の空の間のわずかな隙間を疾走する2040トンの鋼鉄の塊。燦然と輝く太陽に照らされる一直線の糸は、地平線へ聳える。

平坦な大地と南の山脈。重厚な青空。無機質な潤沢。

雲はまばらに線路を横断するように北から南へ流れる。

地球の大気の循環、天球を巡る太陽や惑星、それらは100年も1000年も前、人類

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(小説)solec 3-5「プティ・クーデター」

(小説)solec 3-5「プティ・クーデター」

 

 「全地球的ジャミングですね・・・。」
 第二作戦室には大勢の人が詰めかけている。みんな、普段は別の仕事をしているソレク軍のお偉い方だ。
「フレアを活用したんだろう。うまいな。」
宇宙研の委員長が言う。あの、使い物にならなかったヤシガニの設計もここだ。感心している場合ではない。
「15分前、テンシャン山脈に不時着したパイロットからホットラインです。報告によると、120機近くの爆撃機が西方へ移

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(小説)solec 3-6「赤い空中要塞」

(小説)solec 3-6「赤い空中要塞」

「アレックス小隊へ、私はヒイラギ。まず日本へ。」
「あいよ。もしか君が武士道ちゃん?」
もう通信が切れてる。少人数のメンバーで世界中の部隊に指示するのは恐ろしく大変なことだろう。

かくして、プチ・クーデターはすぐに成功した。

「ヤシガニ、第2射発射シーケンス入りました。発射2分前。」
「静止軌道上の攻撃衛星を準天頂軌道に移動完了。これで間髪入れずに敵を蒸し焼きにできます。」
「よし、宇宙研のみ

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