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小説「砂岡」

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ある街の独立戦争
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#小説

(小説)砂岡 1-0「イルガ」

おお、蒼ざめしオフェリアよ、淡雪の美しくはかなく 花乙女みまかりつるよ、流れの水に運ばれ…

enonon
2年前

(小説)砂岡 4-5「わたしはレズです」

学校から電話が来た。これで何回目だろう。あぁもう! 案の定、相手は森川くんだった。 「い…

enonon
1年前

(小説)砂岡 4-3「勝利」

 翌日、わたしは自室で目を覚ました。わたしがアールグレイのカフェインで酩酊しているあいだ…

enonon
1年前

(小説)砂岡 4-2「リムジン」

「お母様も惚れるわけだ。」 こいつ誰だ。え?お母様って言ったか。 いや、このひと知らないし…

enonon
1年前

(小説)砂岡 4-1 「逃げられない」

 逃げられないわたしに追い討ちをかけるかの如く森川は広場に戻ってきたひとびとへ場所を譲っ…

enonon
1年前

(小説)砂岡 4-0 「スピーチ全文」

スピーチ全文 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  この嵐は多くの犠牲者とその遺族の悲…

enonon
2年前
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(小説)砂岡 3-6 「お城」

 わたしはこの物語が 3-5 で終わると思っていた。実際、この物語の作者は2015年にわたしとミオちゃんが仲良くなって、革命なんかに愛想尽かして終わりっていう結末になってんだ。でも、わたしはもうちょっと、いや、もっと作者にこき使われることになるんだ。どうか哀れんでくれ、誰か。  ブランデンブルク門から西に500mほど行ったところに入雅港がある。そして今日、その沖合にどでかい城が建っている。昨日にはなかったはずだ。上空を複数のヘリがバタバタと飛び回っている。巻き上げられたイル

(小説)砂岡 3-5 「2015年」

 晴れてきたのはいいんだけどさ。うどんしか食べてないし、どっかで寝ないといけない。南風が…

enonon
2年前

(小説) 砂岡 3-4 「墜落」

 地図を買った売店で新聞を取る。ワシントンポスト。陣屈国の新聞だ。英語は通じる。それから…

enonon
2年前

(小説) 砂岡 3-3 「ディベート」

 カフェテリアに戻ってきて、わたしは打ちのめされてショッピングモールから一歩も出られずに…

enonon
2年前

(小説) 砂岡 3-2 「大使館」

 さて。検問もなく、流れでタクシーというか王室の黒い車に私は吸い込まれた。この状況は拉致…

enonon
2年前
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(小説) 砂岡 3-1 「プリクラ」

塩崎はマザーボードを取り出し、それをもって帰った。 わたしと一緒に。電気街には行っちゃい…

enonon
2年前
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(小説)砂岡 3-0 「海」

3本のクレーンが一斉に90度回転する。 管制室でボールペンが鳴る 「作戦開始まで3 2 1」 薄暗…

enonon
2年前

(小説)砂岡 1-1「ハクジツ」

 涼しい〜。 窓から吹き込む北風が春木の頬を撫でる。  南東の高い空が、いつもは空と陸をきっちりと分ける地平線も、今日はすこし淀んでいる。砂の上に描かれたいくつもの直線は船舶たちがつくったものだ。船舶と言っても、よく水の上を行くあの船舶ではなく、水陸両用のホバークラフトだ。船舶の航路は日によって変わる。  今日は南風だから砂が良く飛ぶ、そのせいで視界が悪くなるために、船舶たちは沿岸に沿って航行する。今はそんなに砂が俟っているわけではないが、突然大きな砂嵐が発生することも