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任期付き教員が犯した罪〜阪大微生物病研究所研究不正速報
2025年2月7日、大阪大学からある研究不正の事例が公表された。
大阪大学の発表は以下だ。
7本の論文に捏造、改ざんが認定されたうえ、実名公表された。
不正行為に係る研究者
(1)「不正行為に関与した者」として認定した研究者 ・大阪大学微生物病研究所 元助教 平松征洋
(2)「不正行為には関与していないものの、不正行為があったと認定した研究に係る論文等の内容について責任を負う著者」として認定した研究者 ・大阪大学微生物病研究所 教授 堀口安彦
そして、悪質とされた。
不正行為の程度について
平松氏による特定不正行為は、2019年12月から2023年9月にかけて掲載された計7編の論文に及んでいる。また、調査対象図表計213個のうち、本調査により研究不正が認定されたものは合計107個である(そのほかにも、研究不正は認定されていないが、計44個の図表につき、論文の記載に該当する実験記録の不存在等の理由により、ねつ造または改ざんの疑いがあると認められる)。 以上のとおり、平松氏は、自身を筆頭著者または責任著者とする多数の論文において、4年以上にわたり、膨大な数の特定不正行為を繰り返し行っており、顕著な悪質性が認められることから、同氏による不正行為の程度は、「特に悪質」と判断した。
報道もされている。
これに関しては、私の心のメンター、白楽ロックビル氏が以前から指摘していた。
平松 征洋 (Yukihiro Hiramatsu)たち(大阪大学)https://t.co/wp1xqpED75
— 白楽ロックビル (@haklak) January 7, 2025
微生物病研究所・感染機構部門に所属する(していた?)研究者たちの「2022年のScience Advance」論文が、2025年1月1日、論文の図を支持するデータがないという理由で撤回。データねつ造疑惑があり、対処をお願いします。 pic.twitter.com/MFvvTamcRG
総合評価:◎優
— 白楽ロックビル (@haklak) February 7, 2025
白楽の通報で調査を開始したわけではない。
2024年3月28日、大阪大学に研究不正疑惑の通報があり、2025年2月6日、大阪大学が調査結果を公表した。https://t.co/9Iss9xw9tC pic.twitter.com/knMZREc6DM
この研究室の教授の息子さんと思われる方が投稿していた。
父の研究室で助教が研究不正に手を染めてしまいました。父は公私ともにきっちりとした性格で、研究不正とは程遠い人間だと思っています。それでも、投稿段階で部下の不正を見抜くのはかなり厳しいと言うことを思い知らされました。これはきっとどこでも起こりうるのだと。https://t.co/GYBmYeq1FU
— Ikki Horiguchi (@rpc_hori) February 7, 2025
今年3月に父は定年退官になる。もう少し暖かく穏やかに送り出したかったし、最終講義も聞きたかった。そんな機会を奪い去ってしまった研究不正を憎みたい。
— Ikki Horiguchi (@rpc_hori) February 7, 2025
教授の方は以下のように、適切な行動をしているが、当然それで責任を免れるわけではない。
(3)「論文等の責任を負う著者」としての責任の程度について
堀口氏は、平松氏の退職を機に同氏の不正行為の疑いを発見した際、直ちに微生物病研究所を通じて研究公正窓口(研究推進部)に報告し、迅速に証拠の保全や告発等を行った。また、研究不正の発覚後においては、申立て時に平松氏が研究不正を認めていた図表以外についても、自ら不正の有無を調べて精査するなど、本調査に積極的に協力した。不正発覚時及び同発覚後における堀口氏の上記行為は、同氏の職責・立場に照らして適切なものであったと認められる。 しかしながら、堀口氏は、自身が責任著者である論文③、論文⑤の2編について、「責任を負う著者」に該当する。また、責任著者ではないものの、論文⑦は研究室所属の大学院生が筆頭著者となっており、堀口氏には指導教員として論文に対する責任がある。加えて、研究不正が認められた7編すべての論文において、関連する科学研究費の研究代表者であるとの観点からも、その成果をまとめた論文について、責任を負う著者と位置づけられると考える。 後述するとおり、堀口氏が、不正発覚以前において、「論文等の責任を負う著者」として、本来果たすべき必要な確認等を怠ったことにより、平松氏の複数の論文に及ぶ不正行為を防止できなかったと言わざるを得ず、堀口氏の「論文等の責任を負う著者」としての責任の度合いは「高」と判断した。
3月末で退職した元助教は、研究不正を行なった理由として、任期付き教員であったことを挙げている。
発生要因
平松氏へのヒアリングによれば、同氏は、研究不正を行うようになった動機として、任期付き教員であったことから、次の職を探すにあたり、より質の高いジャーナルに採択されるよう、望ましいデータを出したいと考えていたこと、また、論文執筆や研究費の申請等によって時間が限られる中で、論文発表のために本来行うべき実験よりも興味のある新規の実験にエフォートを割きたいと考えていたことを挙げている。
果たしてこれは言い訳なのか、本音なのか。そして、任期付き教員のプレッシャーを改善することが、研究不正の防止につながるのか。有料部分ではそのあたりのことを考察してみたい。
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