マガジンのカバー画像

本の紹介、感想

24
運営しているクリエイター

2016年3月の記事一覧

日本の近代政治思想史がこんなに面白かったとは!

日本の近代政治思想史がこんなに面白かったとは!

渡辺浩「日本政治思想史 十七〜十九世紀」を読む

今回紹介する本は日本の近代政治思想史の概説書です。政治思想史なんていうと、すっげぇ難しそうに思えるし、全く自分の生活に無縁にも思えるしかもしれませんが、それがそんなことはないんですよ、って話です。

日本の政治思想史と聞くと、まっさきに丸山眞男氏の「日本政治思想史研究」あたりを連想する人もいるかもしれません。そして丸山氏の長年の思索の俎上に

もっとみる
私的日本の短編ミステリー小説13選

私的日本の短編ミステリー小説13選

突然ですが、ミステリーが好きです。(もちろんSFとか普通の小説とかみんな好きですけどね)
といっても、マニアというほど読み漁っているわけでもなければ知識があるわけでもありませんが。
そして、私は短編小説が好きです。どうやら世間的には長編小説の方が好まれて、多く書かれ、売れるらしいですが、私はどちらかといと数十ページにアイディアが純化されたり、詰め込まれたりする短編の特質が好きで、どちらかというと重

もっとみる
ラヴェルってこんな面倒な人だったんだろうなぁと心底思わされる小説

ラヴェルってこんな面倒な人だったんだろうなぁと心底思わされる小説

エシュノーズ「ラヴェル」を読む

ラヴェルという作曲家に対するイメージは、いろいろありそうです。
絢爛としたオーケストレーションから「オーケストラの魔術師」と呼ばれたり、ドビュッシーと並べられて音楽の印象派の代表的な作曲家とされたり、エッジが効いた何かの宝石か鉱石であるかのような硬質なピアノ曲が愛されたり、いろんな好まれ方をしていつつ、でも、何か本質は捕まえられてない感じがします。

あくまでも個

もっとみる
小説での残念なミスについて
「メビウスの守護者」

小説での残念なミスについて 「メビウスの守護者」

昨日「ショパンの手稿譜」というサスペンスリレー音楽小説を紹介しました。
その時、読み手が知識を持っている分野にかんして、小説やドラマの中で間違っていたり、実際にはありえないことが書いてあると往々にして興ざめするよね、って書きましたよね。そういうのって、専門的知識というほどでなくてもけっこう起こりうるかもと思った実例に最近でありました。この小説を読んでいて、最後の最後にこのミスが出てきたので、けっこ

もっとみる
微妙な気分になるリレーサスペンス音楽小説「ショパンの手稿譜」

微妙な気分になるリレーサスペンス音楽小説「ショパンの手稿譜」

少し前に、TVで草なぎ剛が主演してる「スペシャリスト」ってのが、予告で、残された楽譜の謎、とかいってるので、きっとたいしたことではないんだろうなぁと思いつつ、一応は音楽ネタでどんな陳腐なことになるんだろう、といういじわるい興味もありつつ見たわけですよ。そしたら、なんと楽譜の音名を拾うと、、、って類でがっくりというか、いまだにそんなところからしか謎はもってこれないわけって思っちゃいました。まぁ、TV

もっとみる
美術館の学芸員、キュレーターってどんなお仕事?

美術館の学芸員、キュレーターってどんなお仕事?

「美術館の裏側」
「THE CURATOR'S HANDBOOK」
の2冊を読んでみる。

みなさんは美術展を最近観にいきましたか?
東京は音楽もそうですが、世界中のものが集まるという意味ではとても恵まれてますよね。今だって、渋谷、上野、六本木をはしごするだけで、村上隆の大規模展、めったに見られないほど作品が一同に会したボッティチェリ展、倉敷の大原美術館からエル・グレコの「受胎告知」がやってきてい

もっとみる
「4分33秒論」を/から考える

「4分33秒論」を/から考える

この「4分33秒論」という本は佐々木敦氏が「『4分33秒』を/から考える」と題して、2008年3月から7月に月1回のプログラムとして計5回「4分33秒」について話した内容をまとめたものです。つまり10時間以上「4分33秒」について語ったり、いろんな資料を視聴したりという、そんなに「4分33秒」について話せるのかって素朴な疑問以上に、そういうイベントを企画するだけでも勇気いりますよね!w

最近は日

もっとみる