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【読書】「山の音」川端康成

川端康成は「雪国」に続いて2冊目。「雪国」よりは読みやすかったが、次、読書友がお勧めしてくれた「眠れる美女」を読んだら川端はもういいかな。だいぶ以前に「山の音」は手に取り、途中で放り出してしまったが、今回は完読できた。それだけでもよし、としよう。

他の方の感想を知りたくて検索したら、とても分かりやすく且つ面白く!感想を述べられている方がいたので、引用させて頂く。

まず、登場人物の紹介の仕方が上手すぎる!
「からあげめがね」さんの書評を読むと、この本を読みたくなるに違いない!

わたし自身還暦近くなってよく分かるようになったのは、美醜、好き嫌い、あらゆる欲に対する欲、それらへの心持が、20代、30代のころとほとんど変らないんだ、ということ。好みのタイプや、人を好きになる情景なんてどんなに年を取ろうがほぼ変わらないだろう。だから、主人公・信吾が息子の妻に親愛の情を深め、大切に思っていくことを自然なこととして受け止める。

そう、受け止めつつ、作り物であっても「老人のくすんだ心境」、ましてや息子の妻への愛情をつまびらかにされると目を背けたくなる。
最近「老人の心境」を扱った作品が多くなり、わたしも何冊か手に取ったが、目を背けたくなるほどではない。もっと軽く受け止められるほどのもの。
「戦後文学の最高峰に位する名作」、
「家族の感情の微細なひだに到るまで隈なく捕えながら、揮然と描き出されている」
と評される川端はやはり文豪なのだろう。

はっきり手を出して妻の体に触れるのは、もういびきをとめる時くらいかと、信吾は思うと、底のぬけたようなあわれみをかんじた。

山の音

冷酷で、上手い。立場的にこの妻である私にはとんでもなく刺さった一文。

三十幾年後の今、信吾は自分たちの結婚がまちがっていたとは思っていない。長い結婚は必ずしも出発に支配されない。

山の音

結婚の真実をついている。大恋愛の末に結婚しても憎しみあって別れる夫婦もあるし、お見合いでこんなものかな、と始まっても、おだやかに添い遂げる夫婦もある。

川端の「老いた女」への視線の冷たさに、じゃぁ翻って「老いた男」はどうなのよ、の一言でもいいたい気分の読後感だった。

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