禅のマインドフルネス効果:人前で緊張せずに話せるようになる
人前に出ると緊張してうまく話せない、そんな経験ありませんか。
緊張して失敗するのは、おおよそ次に挙げた理由が考えられます。
① 「上手に話さなければならない】と自らプレッシャーをかけてしまう
② 聴者の反応ばかり気になる
③ 時間が気になって、早口になる
④ 頭の中が真っ白になって、事前に考えていた段取り通りにいかなくなる
このような状態の時は、無意識のうちに呼吸が乱れています。呼吸が速くなると肩に力が入って身体がこわばり、緊張感が一層高まります。
緊張を解くための最も良い方法は、「呼吸を調える」ことです。
禅では呼吸を何よりも大事にします。これを「調息」と言います。
「呼吸を制するものは全てを制する」と言っても過言ではありません。
禅では「数息観」と呼ばれる呼吸法を用います。
息を吸った後、息を吐き出すときに
「ひとーつ(1つ)」
「ふたーつ(2つ)」
と、心のなかで静かに数えて、
「とーお(10)」まで数えます。
10まで数えたら、再度「ひとーつ」に戻って10まで続けていきます。
数息観のポイントは、「ゆっくり」と「腹式呼吸」の二つです。
禅僧は、一分間に一回ぐらいの呼吸数です。一方、一般の人は一分で20回前後が平均のようです。なぜこれだけ呼吸数が違うかと言うと、一般の人たちは肺にある空気を全て吐き出す前に吸ってしまい、長い呼吸ができません。
肺に空気が残っていると、どんなに深く息を吸っても長く息を吐き出すことはできません。呼吸をゆっくりするコツは、まず空気を吸う前に肺を空っぽにすることです。
いきなり息をするのではなく、まずは肺の中の空気を全て吐き出すことから始めてみてください。
ゆっくり息ができるようになったら、次は姿勢を正しく保ち全身の力を抜いて、腹式呼吸を心がけてみましょう。背骨が頭上から引っ張られるイメージを持つと、自然にスッと腰骨が立って姿勢が良くなります。そして両肩を後ろに少し引いて胸筋を広げ、地面に向かって肩を落とすと、緊張感が一層和らぎます。
その時、肺が太ももの付け根にあたりにあるイメージで息をすると、腹式呼吸ができるようになります。腹式呼吸は、上半身にある意識がだんだん下半身に落ちていきます。重心が下がることで緊張した気持ちが段々落ち着き、大勢の前でも堂々と振舞うことができるようになります。
緊張感が和らぐと、冷静に状況を観察できるようになります。
例えば
「聴者はプレゼンターに完璧を求めていない」
「資料に注目してもらったり聴者に問いかけたりして、自分に向く注目を他に逸らすことができる」
「うまく話そうとする必要はない」
「うまく話そうとするかではなく、聴者が知りたいことを丁寧にわかりやすく伝えるだけでよい」
など、周りがよく観えてきて、気持ちが落ち着くようになります。
禅の呼吸法は世界的にも様々な分野で取り入れられています。
FBIの狙撃手も禅の呼吸法を活用していると言われています。
禅の実践者として知られる米アップル創業者のスティーブジョブスは、プレゼンのスペシャリストでした。
禅の呼吸法を実践する多くのスポーツ選手は、良い成績を収めています。
気持ちをリラックスさせ、成功に導く禅の呼吸法は世界共通です。
あなたも人前で緊張したら、まずは禅の呼吸法を実践してみてください。きっと一瞬のうちに緊張感から解放されるに違いありません。