英検1級を取るには(Part 1: 単語力UP 後編)
「英検1級を取るための単語の覚え方」前編に引き続いて後編です。
前編を読まれていない方はぜひ前編を先に読んで下さい。
(英検本番直前で、力技で単語を詰め込もうとしている人を除く。直前対策だけならこのまま後編を読んで、試験が終わった後にまた前編から読んで下さい!)
* 元々は一本の記事だったのですが「長すぎる」というご意見があったので、慌てて前後編にしました f(^^;)
前後編に分ける前に既に読んでくださっている場合は、同じ記事です。長さが半分ずつになりました。一度に読みたい方は「英検1級を取るには(Part 1:単語力UP編)」を読んで下さい。
それでは本文のはじまりはじまり〜。パチパチパチ。
2)まとまった時間(30分以上)の単語学習方法
まとまった時間では「相性の悪い単語」に集中して、「覚えるために特徴付ける作業=書き込み作業」をし、覚えていく。
「パス単」には最初から以下に説明するような情報が少しだけ載っているが、それだけでは足りないので自分で調べてドンドン情報を書き込んでいく。
(1)最初は4つの選択肢から2つまで絞り込めるようになるレベルを目指す
英検大問1の語彙問題は4択問題なので、まずは4つの選択肢を2つまで絞り込めるようになること。
そのためには語源を書き込むこと(語源学習)が効果的である。
【語源学習とは】
英単語をパーツに分解して意味を覚える方法のことである。
単語を接頭辞、語根、接尾辞というパーツに分解して、それぞれのパーツの意味を調べて、全体の意味を推測できるようにする。←4つの選択肢から2つまで絞り込めるようになる。
接頭辞、語根、接尾辞にどんなものがあるかを見たい時はネットで調べれば出てくるが、中でも Gogengo! というサイトは素晴らしいので一見の価値あり!
http://gogengo.me/roots
【具体的な語源学習法】
① 単語を接頭辞、語根、接尾辞というパーツに分解して、下線を引く。
「単語がどんなパーツに分解できるか」は、ネットで語源を調べると見つけられる。
duplicateという単語の語源を知りたければ、グーグルで “duplicate 語源”、もしくは” duplicate origin”で調べる。(“ ”は付けないで検索してくださいね。)
すると、duplicateという単語は du plic ate に分解されることがわかるので、下線を3つ引いてパーツを3つに分ける。
② 接頭辞、語根、接尾辞の意味を各パーツの下に書き込む。それぞれの意味を足し算して、全体の意味が推測できるようになる。
duplicateでは、各パーツの意味を調べるとdu=duo (2つ) + plic=plico (折る、重なる) + ate (にする)であるとわかる。それぞれの意味を足すと、全体では「2つに重ねる」=「を複製する」を意味すると推測できる。
↑ 4つの選択肢から2つまで絞り込めるようになる。
③ 同じ語源で既に知っている語を書き込む。
これもネットで語源を調べると出てくる。
A. 接頭辞、接尾辞が違うだけの親戚語
接頭辞が違う親戚:duplicate(複製する)- complicate(複雑にする)- replicate(レプリカを作る)- implicate(巻き込む)
接尾辞が違う親戚:duplicate(動詞 複製する)- duplication(名詞 複製)
B. 同じ語根だが形が違う親戚語
duplicateの語幹plic(折る、重なる)= ply, pli ple と同じ
apply(申し込む、当てはまる)、imply(暗に示す)、multiply(掛ける)、 explicit(明白な、明確な)、simple、triple、perplex(当惑させる)、employ、deploy(配置する)、diploma(卒業証書)、exploit(利用する、搾取する)等と同じ語幹
* 全部書く必要はない。覚えるヒントになるものだけでOK。
(2)最終的には全部の単語を力技で覚える
4つの選択肢を2つまで絞り込めるようになったら、後は力技で覚える。
とは言え、相性が悪い単語はなかなか正攻法では覚えられない。なので、ここでは私が実際にやってみて「使える!」と思った方法をいくつか書いておく。
① 似ている言葉を書き込む
不思議なことに、似ている単語を1つ覚えると、芋づる式に他の単語も覚えることができる。
A. 意味が似ている語
duplicate(複製する)
copy(コピーする)
xerox(書類をコピーする)
replicate(レプリカを作る)
B. 形が似ている語(他人の空似の単語ペア)
except(を除いて)– excerpt(引用、抜粋)
queue(待っている列)– cue(合図、きっかけ)
course(コース)– coarse(粗い、粗野な)
② カタカナになっている語はカタカナを書き込む
カタカナは日本語なので、あまり馴染みのない言葉でも相性が悪い英語よりも覚えやすい。もとの英語と意味が違うことがあるが、英語の意味で覚える。
balk(ためらう、しり込みする、急に止める)
カタカナ:ボークをする(野球用語。投げるのを急に止めて牽制球を投げること)
③ 語呂を書き込む
実はこれは私の十八番で、本当にどうしようもない語呂をたくさん作った。ネットで検索して収集したものを入れると、1000個近く書き留めている。そのうち、パッと単語帳を開いて目に留まったものだけいくつか例としてあげる。
culmination(カルミネーション=絶頂)
「軽身な姉さん絶頂気分」 ← サーカスの人とか?
detest(ディテスト=ひどく嫌う)
「痔テストをひどく嫌う」 ← ノーコメントでお願いします。
divulge(デバルジ=秘密などを漏らす)
「出張る時で寺の秘密を漏らす」 ← 出張る寺って出っ張ってる寺?
elicit(エリシット=引き出す)
「エリの嫉妬を引き出す」 ← エリって誰やねん。
incarcerate(インカーサレイト=閉じ込める)
「インカ去れい!と霊をお墓に閉じ込める」 ← なんでインカの霊が日本に?
なかなか自分で思いつかない時は、語呂で覚える単語の本もあるので参考にすると良い。
最近見た中で、一番私の単語帳(書き込み後)に近かったのが、植田一三さんの『でる単語だけ大特訓 英検1級TOP800 (省エネ合格)』だった。語呂も載っていて、参考になると思う。
④ ~で見た(本とか、ブランドの名前とか)を書き込む
snide(意地悪な)
SNIDELというブランドがある。意地悪な人でもこのブランドの服を着れば性格よく見えるのかも。ガーリーで甘い可愛いイメージの服が多い。
oblivious(忘却)
ハリーポッターの「オブリビエイト(obliviate)」という呪文は相手の記憶を消してしまう「忘れよ!」という呪文。
⑤ 絵を描く
galvanize(活気づかせる、刺激して駆り立てる)
イタリアの生理学者Luigi Galvani(ルイージ・ガルバーニ)から。
死んだカエルの足に電気を流してピクピク動かした。→電気で刺激する。→活気づかせる
ガルヴァーニさんの名前はルイージだったんだ。マリオのルイージ描けば良かった。パパッパピプペッポ♪
⑥ ストーリーを書き込む
これはストーリー仕立ての例文を作っても良いし、語源がストーリーになっている場合は、その話を書き込む。ここでは語源がストーリーになっている例を挙げる。
tantalizing(じらすような、じれったい)
[ストーリー] Tantalus(タンタロス)はゼウスの子。神々の秘密を漏らしたため、あごまで地獄の水につけられ、渇して飲もうとすると水は退き、飢えて木の実を採ろうとすると枝がはね退き、飢渇に苦しめられた→じれったい。
mesmerize(魅了する)
[ストーリー] Franz Anton Mesmer(フランツ・アントン・メスマー)は18世紀のドイツ人の医師で、催眠術で病気を治療しようとした。催眠術をかける → メスマーする → mesmerize(催眠術をかける、魅了する)。メスマーさんに催眠術をかけられて、クラクラ~と魅了されちゃうんですね。アイドルっぽかったのかも。キャ~ッ、メスマ~、こっち向いて~!!!
⑦ 多読をする。
これは単語帳とは関係ないのだが、多読をして実際の文脈の中で何度も何度も繰り返し出会うことで、正しい単語のイメージが付いていく。これは長期的に見ると、本当に素晴らしい財産になる。
まとめ
「英検1級を取るための単語の覚え方」
① 仕込みをする(相性の悪い語を選び出す)。
② 隙間時間に何周もして定着させる。
③ まとまった時間は語源学習をし、4つの選択肢から2つにまで絞り込めるようにする。
④ どうしても思い出せない語は、力技で覚える。
・似ている語、他人の空似語
・カタカナ語
・語呂合わせ
・どこかで見た語(ブランド名、ハリポタの呪文)
・絵でイメージを足す
・ストーリーでイメージを足す
⑤ 多読をし、文章の中で繰り返し出会って思い出し、定着させる。
この記事は「英検1級を取るための単語の覚え方」というテーマで書いたが、英検1級を取らなくても、英単語を覚えると英語の世界の見え方が変わってくる。
世界の見え方が変わると何が起きるか。この話も、いま書いている「英検1級を取るには」のシリーズが終わって、「TOEIC満点を取るには」を書いて、「通訳という職業」について書いて。。。そのうち書く予定です(また予定か~いっ!スミマセン、気長にお待ちください。)
いかがでしたでしょうか?読んだだけでわかるように、できるだけ詳細に書いたので、またまた長くなってしまいました。スミマセン。
それでは最後に。英検1級を受験する皆さん、試験本番で実力を、いや実力以上の力が発揮できますように!心から応援しています。
英検1級を取ると、新しい未来へのトビラが開きます。私の場合は英検1級を取ったことで英語の専門職につくことができ、今は通訳者として活動しています。
*詳しくは『英語の専門職になるためには』に書いています。ぜひ読んでみて下さい。
では、Good luck! I'm keeping my fingers crossed!
毎日少しづつホソボソと書いています。応援してやろうという奇特な皆様、よろしければサポートお願いします。喜んで書くペースが少し上がります!