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青山悟 刺繍少年フォーエバー 永遠なんてあるのでしょうか(目黒区美術館)

先週行って、大変感銘を受けて是非紹介したいと思っていたのに、時間がたってしまった! 目黒区美術館で開催中の「青山悟 刺繍少年フォーエバー 永遠なんてあるのでしょうか」展、2024/4/20-2024/6/9、あと1週間で終わってしまう!
展覧会にあわせて、図録も一般書として刊行されている。展示作品以外にも紹介されている作品あり。

展覧会のメインは2階会場だったが、入ってすぐに、目黒区内在住の青山が、目黒区立の小学校でアウトリーチ活動をした成果としての合作作品が展示されていて、もうそこから心鷲掴みである。

Good Night, Good Night, Our Town おやすみなさい、ぼくらのまち (部分)
Good Night, Good Night, Our Town おやすみなさい、ぼくらのまち (部分)
Good Night, Good Night, Our Town おやすみなさい、ぼくらのまち (部分)
Good Night, Good Night, Our Town おやすみなさい、ぼくらのまち (部分)
Good Night, Good Night, Our Town おやすみなさい、ぼくらのまち (全体)


Defeat the Common Sense Monster! 常識モンスターをやっつけろ!

撮影自由だったので写真撮りまくったが、流石に全部は紹介しきれない。
工業用ミシンを使っての刺繍作品で、刺繍する素材はかなり自由。紙にびっしり刺繍したり、文字を入れたり、布以外の素材に刺すのはかなり繊細な技術が求められることが想像される。
動画で製作風景を見て、その緻密さに圧倒される。
この展覧会のテーマとか、青山悟が取り上げ続けてきた素材については、展覧会公式サイトの紹介文が的確で、言いかえるよりは直接読んでもらった方がいいのでそのまま掲載。

「永遠なんてあるのでしょうか」。
この言葉は、青山悟が近年取り組んでいるテーマ、時代とともに 社会から姿を消そうとしている様々な「消えゆくもの」への問い かけのメッセージです。
青山は、目黒区出身の現代美術作家です。彼は、刺繍というおよそ美術作品の制作のために用いる技法とは程遠い手段で作品を制作しています。手仕事としての刺繍が、ミシンという工業機械に取って代わられることには、現代社会における労働や資本主義の問題が示唆されると同時に、ミシンで大量生産される製品と美術作品の違いとは何かという問題も示されています。さらに青山の作品は、刺繍は女性がするものという伝統的な男女の役割に対しての問題も浮かび上がらせます。50 代である青山の展覧会名のサブタイトルが「刺繍少年」となっていることには、ジェンダー、エイジズム(年齢差別)の問題も暗示されています。青山は、刻一刻と変化する私たちの生きる社会が抱える様々な問題に対し、常に敏感に反応し、ミシン針でチクリと風刺をきかせます。

https://mmat.jp/exhibition/archive/2024/20240420-427.html
ブルー・インパルス(これは糸で吊るしてあった)
ブルー・インパルス(航跡部分はくしゃっとさせた紙で、メッセージが刺繍されている)

コロナ禍で感じたことなどをまとめたコーナー。東京五輪に際してのブルーインパルス飛行について思うところを航跡に刺繍してある。

他にもマスクに文字を入れたもの、ソーシャルディスタンス計測用のメジャーなど、作品を見て、緊急事態宣言下の緊張感や、無観客開催のオリンピックなど、色々なことを思い出した。

時間が経つのが早すぎる時計 刺繍枠に貼ってある布に時計のムーブメントが付いている。
時計の針は逆回りに回っていた

古今東西の名画や、目黒区美術館の収蔵作品を刺繍で再現した作品も沢山あり(目黒区美術館収蔵作品はオリジナルの絵画も展示されていた)、それに作者のメッセージも記載されていて、大変興味深かったが、写真を載せると本当にきりがなくなるので泣く泣く割愛。青山の祖父青山龍水も区内在住の洋画家で、祖父の作品と、それを再現した刺繍作品、というのもあった。ステキである。


東京の朝 部分接写
東京の朝 チラシにもなっている作品。遠目には写真のようだがびっしり刺繍で埋めてある。


一つの台の上にまとめて散らしてあるが、1つずつ、別々の作品。まとめて「永遠なんてあるのでしょうか? Do you believe in 'Forever'?」と題されている。


レシートも木の葉も吸い殻もチラシも全部刺繍作品
新聞でこの吸い殻作品の話が書いてあったのを見て、どうしても実物が見たい、と思って行った。吸い殻がトリガーになる展覧会…。
刺繍の木の葉。朴の木で木の葉を彫り出す須田悦弘ともちょっと通じるものが。


ウィリアム・モリスの影響を強く受けていて、このモリス作品の文庫本以外に、モリスのメッセージを大きく刺繍したパネルもあり。
Time ( Labour and Freedom) タイム誌(労働者と自由)
刺繍作品なら、赤瀬川原平みたいに偽札事件になったりしないのか!


Embroiderers (Dedicated to Unknown Embroiderers)刺繍家たち(名もなき刺繍家た ちに捧ぐ)インクジェットプリントに刺繍 (ポリエステル糸)
Embroiderers (Dedicated to Unknown Embroiderers)刺繍家たち(名もなき刺繍家た ちに捧ぐ)インクジェットプリントに刺繍 (ポリエステル糸)
Embroiderers (Dedicated to Unknown Embroiderers)刺繍家たち(名もなき刺繍家た ちに捧ぐ)インクジェットプリントに刺繍 (ポリエステル糸)




Light and Patterns 光と文様 ポリエステルに刺繍 (ポリエステル糸と蓄光糸) 会場が周期的に暗くなって模様が浮かび上がる。
Light and Patterns 光と文様 ポリエステルに刺繍 (ポリエステル糸と蓄光糸) 明るい時はこんな感じ。


Just a Piece of Fabric ただの布切れ ジュラルミンケースの中におさめられていて、蓋に製作光景の動画がついている。緻密な作業に驚く。暗くなるとお札の中央部分に「見えざる者消えゆく者に光を」というメッセージが浮かび上がる。


ワークショップなども開催される1階の部屋に青山さんのミシン。
残念ながら当日は青山さんはいらしていなかった。

また機会があったら、もっともっと色んな作品を見てみたいと思った。製作風景も見てみたいし、あたあた写真撮ってないでもっとじっくり作品に向き合ってみたいと思った。

明日、6月2日にアーティストトークがあるらしい…。

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