福田平八郎×琳派(山種美術館)
恵比寿の山種美術館で開催している【特別展】没後50年記念 福田平八郎×琳派 展を見てきた。2024年9月29日~12月8日。山種美術館所蔵作品中心に、福田平八郎と、彼が影響を受けたと思われる琳派の名品(これも所属品)を紹介し、更に、福田平八郎にインスパイアされたと思われる日本画の近作(といっても昭和の作品なので、福田とほぼ同時代から少しあと位)の展示もあり面白かった。
本年3-5月に大阪、5-7月に大分で開催された「没後50年 福田平八郎展」については、大分県立美術館へ見に行った時の記録をここに書いたが、山種美術館収蔵品から「桃と女」(大正5年)と「筍」(昭和22年)も出展されていて、図録にも掲載されているのだが、この2点は大阪のみでの展示で、大分には巡回してなかったので、見られて嬉しかった。「筍」は郵便切手にもなっていて、昔から知っている絵柄だったので、嬉しさもひとしお。
展覧会は基本撮影禁止。唯一撮影OKだったのが、下の「彩秋」(昭和18年)。
展示替えなし。
「第一章 福田平八郎」が26点(うち館蔵品15点)、「第二章 琳派の世界」が17点(うち館蔵品13点)、「第三章 近代・現代日本画にみる琳派的な造形」15点(全点館蔵品)という構成で、山種美術館収蔵品の底力を感じさせるラインナップ。これまでなんだか機会がなく、山種美術館に来たのは初めてだったのだが、速水御舟や奥村土牛の作品も、見に来なくては。
図録がコンパクト(A5サイズ)で、安価なのも好感度高い。
初期作品の「桃と女」や「牡丹」は、ちょっとじっとりした重苦しい空気をまとっている印象で、それが、昭和に入るころからすっきりした画風に変わってきている。鮎、桃、菖蒲、竹など、大分での展覧会でも見たモチーフの作品も多かったが、色画用紙に色鉛筆で描いた花や林檎など、シンプルな対象物をちょっと厚ぼったい感じの色合いで描いた小品がまた印象的だったりもした。「漣」も習作が1点展示されていた。福田平八郎が対象物をじっとじっと見つめて、たどり着いた境地を、今回も堪能した。
琳派と結びつけた展示については、まぁまず収蔵品ありきのキュレーションだよね、という気持ちもあったが、重要美術品「秋草鶉図」をはじめとする酒井抱一、俵屋宗達、鈴木其一、いずれも名品で、更に最後に抱一の養子だったという酒井鶯蒲の「紅白蓮・白藤・夕もみぢ図」の3点の絵がモダンで、なるほど福田平八郎につながっているような気がしてくるよな、と思えてきたりも。
「第三章 近代・現代日本画にみる琳派的な造形」も、館蔵品を説明的に使っているのか、と斜に構えていると、全然牽強付会ではなく、小林古径も速水御舟も奥村土牛も、みんな琳派にまねび、つながっているように見えてくる。最後の方に展示されていた吉岡堅二「春至」と「浮遊」は、ぱっと見福田平八郎そっくり、と思ったが、福田自身が吉岡作品を高く評価していた、というキャプションを読み、面白いなぁ、と思う。大分では福田作品だけをこれでもかこれでもか、と味わってきたが、都内の美術館で、福田作品を、その他作家の作品と自然に取り合わせた展覧会を見られるのは本当に幸せなことである。
山種美術館入り口のカフェで、展覧会出展作をモチーフにした和菓子をいただく。福田平八郎「紅白餅」モチーフの水色の和菓子も可愛かったが、酒井抱一「秋草鶉図」のお菓子にしてしまった。
展覧会会期中の特別和菓子
https://www.yamatane-museum.jp/upload/cafe240928.pdf
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