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没後50年 福田平八郎展@大分県立美術館

大阪中之島美術館で2024/3/9-2024/5/6、大分県立美術館で2024/5/18-2024/7/15開催の「没後50年 福田平八郎」展を見に、大分までやってきたよ。生涯2度目の大分訪問が福田平八郎推し活とは。
平は本当は中のちょんちょんが八のように開いている字なのだが、「平」で書きます、ごめんなさい。
福田平八郎は、明治25(1892)年に生まれ、昭和49(1974)年に亡くなった、日本画家。日本画は、長く展示していると退色してしまうこともあり、殆どの作品が前期か後期、どちらかだけ展示なので、わたしが見られなかった前期は、またちょっと違った趣であったことと思う。
こんなにまとまった数の福田平八郎作品を見られる機会はもうないかも、と思って、大阪展に行こうと画策していたら、転倒して右手首を骨折して、遠出するエネルギーがなくなってしまってしゅん、としているうちに展覧会が終わってしまった。関東への巡回はなく、福田の生誕地大分への巡回、ということで、行かねば!、とやってきた次第。来てよかった、本当によかった。

わたしが生まれて初めて見た福田平八郎作品は、東京国立近代美術館収蔵の「雨」(昭和28年)という絵。本展でも展示あったが、前期だったので今回は見られず。図録から画像拝借。

「雨」

驚いた。これって絵なの? 瓦屋根らしい線が画面に引かれているだけじゃないの?、と思った。何回も見て、ぐっと近寄って、タイトル通り、雨が、瓦屋根に当たって、しみ込んでいく様子が、少しずつ身に迫ってきた。すごい人だ。

で、気になっていたが、各地の美術展でも一度に1枚か2枚程度しか見られない。もっともっと見たいんだ!、という願いがかなえられて、とても嬉しい。

最初に、京都市立美術工芸学校の卒業制作で描いて、学校買い上げとなった「雨後」という六曲一双の屏風作品があり、その構成力から息を呑む。たわむ枝先から降るような大量の葉と花、その圧倒的なバランス。
その後、試行錯誤の時代があり、日本画の花鳥風月を美しく描く、みたいな時代があり、それはそれで端正なのだが、多くの写生帖が展示されている、その一つ一つの緻密さ、それが作品になる際に昇華されて新しい視点が見えてくる経緯が時代を追って明らかになっていく。
一部の作品が撮影可能だったので少し紹介。

「鴨」昭和10年


「桃」昭和31年


写生帖より、百合とカーネーション(部分)


「花菖蒲」昭和25年


「雲」昭和25年
「新雪」昭和23年


「水」昭和33年


「漣」重要文化財 昭和7年

「漣」とか、ちょっと李禹煥風じゃね?、ってこっちがずっと先からあったんだけど。しかし、今回新発見の習作とかスケッチとかも展示されていて、これは抽象ではなく、観察に観察を重ねた結果がこういう風に現れている、ということが分かるようになっていた。
見つめて、見つめて、描くべき線が、色が、画家の中に醸成されていく。
筍とか、花菖蒲とか、繰り返し描いて、もう、見たらこれは福田平八郎以外のなにものでもない、と一目で分かるようになっていく。
描く対象は、自分の身近にあるものばかりで、それをじっくりと眺め、何回も何回も写生している。そのお裾分けを見せて貰っている幸福感に浸る。

美術展見た後は、館内のカフェでコラボレーションの水ようかんパフェを食べ、美味しくて更に幸せに。


木とガラスの組み合わさった建築も心地よく、本当に来てよかった、と思った。
また是非回顧展をやってほしい!!

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