死と出会い 13話 岐路
僕と相田は教師にみっちり絞られた。帰りには玄関に愛理がいた。どうやら僕を待っていたようだ。そう察したので、一緒に帰ろうと僕は言った。
あれから僕と相田は、宮崎先生にみっちり絞られた。相田はチラリチラリと、教師のほうを見ている。今にも逆ギレしそうな勢いだった。でも、殴った僕も停学や退学にならずに済んだし、そうしてよかったと思った。相田は殴られ損だなと思い、僕は心の中で笑っていた。
宮崎先生に叱られたが、僕は大して反省はしていない。だって、悪いのは相田のほうだから。
そして、一時間ほど叱られて僕らは解放された。
時刻は十六時過ぎーー
僕はカバンを取りに教室に戻り、玄関に向かった。
そこには、愛理が下駄箱によしかかって立っていた。
「お! 愛理、どうしたんだよ、こんな時間まで」
彼女に笑顔はなかった。そして、
「大丈夫だった? ショック受けてない?」
心配そうに僕を見ている。
「大丈夫だよ。ショックなんか受けてないさ。宮崎先生はあんなに怒っていたけど、僕が悪いと思ってないからね」
「まあね。でも、殴ったので停学とかにはならなかったの?」
さらに愛理の表情に不安の色が濃くなった。
「その話は出なかったよ。心配かけて悪いな」
「それはいいけど、でも心配はめちゃくちゃしたよ」
彼女は今にも泣きそうな顔つきだ。
「もしかして、僕を待っていたのか?」
「まあ、そんなとこだよ」
「そうかあ……。でも、ありがとな」
「うん!」
愛理は、ようやく笑顔を覗かせた。僕は、少し安心した。
「たまには一緒に帰るか?」
僕を待っていたということは、そういうことかと思ったので言った。
「いいの? もしかしたら、絵里に見られるかもしれないよ?」
僕はそれを聞いて笑ってしまった。
「絵里ちゃんはかわいいとは思うけど、別にそういう目では今は見てないよ」
愛理は驚いたような顔をして僕を見ている。
「そうなの? でも、今はって言ったよね」
「そうだな。先のことはわからないよ」
愛理は無表情になった。彼女はなぜ、僕のことを構おうとするのだろう。
「暗くなったら嫌だから、早く帰ろう?」
愛理は少し不安気な様子。
「そうだな。帰るか」
僕らは玄関を出て、正門を通り下校した。その途中に愛理に話しかけた。
「そろそろ雄二の実家にしてみてもいいよな?」
「四十九日の法要のことでしょ?」
「うん、そう」
「いいと思う。きっと、私たちがいったら雄二や雄二のご両親も歓迎してくれるはずだよ」
「だよな! 帰ったら僕のほうから電話してみるか」
「そのほうがいいと思う。わかったら教えてね?」
「もちろんだよ! 一緒に行こう」
「うん。ありがとう!」
僕と愛理は、傍からみるとカップルと見間違われるかもしれないがそんなことはお構いなしだ思って、仲良くしゃべりながら岐路を共にした。
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