神様のボート/江國香織(3)
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これは狂気の物語です。
江國さん自身が、あとがきでそう仰っている。
確かに、これは、私も狂気だと思う。そして危険。
大学の主任教授と恋に落ちて、卒業と同時に入籍する。でも、恋に落ちたとは言っても身体的接触は手を繋ぐだけだった。
そこからどんな経緯で「あのひと」と出会ったのかはわかりようもないが、ともかく、葉子さんは、すばらしくきれいな背骨をした「あのひと」と出会い、たくさんのお酒を飲み、結果として草子が発生した。
それは教授との婚姻6年目のことで、葉子さんが離婚したいと切り出すと教授は「すまなかったね」と謝り、ただひとつの条件として「東京から出ていくこと」を呈示する。
それは髪の長い若い女性や幼い女の子を見かける度に葉子さんや草子かもしれないとドキドキしたくないから、だという。
そうして葉子さんと草子は旅ガラスになった。
このプロットだけでもじゅうぶん危ない。
だがこの小説はさらに危うさや儚さ、脆さ、鋭利さなども持ち合わせている。
非常に危ない。そして甘美。
私は「あのひと」よりも桃井先生が欲しい。でも、いざ、「あのひと」が現れたら、私も「あのひと」を選ぶのかもしれない。
「あのひと」
会いたい。
スピリチュアルなんて馬鹿にしかしないくせに「俺たちはベターハーフ」なんて言った「あのひと」。
ほんとうに私たちがベターハーフかどうかはわからないけれど、結局私はあなたとの未来を捨てきれないし、結果がどうあれ、愛し切らないとどうにも進めなさそう。
ついさっき、父親から、明日は母親の誕生日だから呪ってあげな、間違えたかも、祝ってあげな、という連絡がきた。
忘れていた、完全に。
去年の今頃は「誕生日に私が死んだというニュースをプレゼントしよう」なんて本気で考えていたけれど、今年は思い出しもしなかったので成長かもしれない。
ただ、連絡を受けて感じたのは、殺されたい、という気持ち。
あまり積極的に死にたいとか死ななきゃとかは考えなくなったけれど、やっぱり、両親の呪縛からは解き放されていない、らしい。
昨日はお友達と上野に行きました。怖い絵展が2時間待ちだったので諦めてフラフラして、帰りに新宿で四文屋に入りました。
都会は頭使わなくても楽しませてくれるから楽だけど疲れるし空っぽになったような虚無感にも襲われます。
だからといってド田舎で生きていける自信もないし、好きなときに好きな地方で過ごせるように別荘が欲しいなって思いました。ていうか私も旅ガラスになりたい。
それかドイツに住みたいです。住もうかな。
おやすみなさい。