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一行詩集

神の子はどんな火傷をするのかと 神の子たちが試した日

吹け、魔風 恋風なんて恋風邪に恋の病は魔風のせい

死体たち、にこりと笑う夢を視て 死後の世界はコメディアンと知る

ダダダダダかけぬける騒 ラララララききほれる歌 そして暴想

髭そって襟を正してピンと立つ 警笛が鳴る どこかへ行こう

Oh! Dance ダンスを踊って横断す ダンス踊るはタンスの上だよ

目をとぢて街の音きき歩いてく 目あける日は知らない町に

夜がそう まちまち転がる虹たちよ 虹七色と決めたのはニュートン

群がそう まちまちゆらめく午前二時 ホースから吹く虹、午後二時

梁に綱 一輪がゆく ゆうくらゆ まるまるタマは人だったタマ

押し黙り ちょっ!と舌うて単細胞 夢魔と語れば引きこもる夜

聖堂に住んでる家族は桜田家 聖堂解体業者が街に

いざさらば! 思い出もない子宮殿 わらっちまうぜ光の行脚

「続編にご期待下さい」とテロップが 建物抜け出し続編となる

「かけこみはおやめください」言われても、それでも急ぐ人の不可思議

二時の虹 かけおりる君のエクボみて 下り階段かけあがる僕

きゅきゅきゅっと「マーカー畑の君のノート。どこが重要?」「ぜーんぶ、大事」

冬の子に心ばかりの夏をやる ほうらほらほら、ラムネはいるかい

希薄する自己言及性にハッとする じたばたする馬鹿 わたしでござい

あっという間 パリンと割れた まっちろな皿 足元みれば目ん玉ひとつ

うたたねて 静かに死んでく知らぬ爺 それでもなぜか涙こぼして

女学徒の髪掻き揚げる そのうなじ 螺旋を描く風の階段

おばばの手に抱えられた風呂敷から零れだしたオレンジの風景

くすのきの香りただよう初夏の風 ふくらむスカアトぼくのパラソル

くちびるが「ここが始まり」だと言えば そんな気もする真っ赤なつぼみ

左目一輪白百合挿してキレイでしょ/君の右目をなめてあげたい

くるくると廻る身体から 抜きん出る心 あなたのもとへと心へと

「詩はキライ」そういう君はお目目ぱっちり だけどこれって詩なんだぜ

あいしたい せおよぎしたい きみとしたい それらのしたい ふらんしたお

母危篤「うみふさぐ棘抜きたまえ」うみがうみの一滴 渇いた干物

イチジクのグネグネのびる枝の先 散り散り実る思いの果実

色は2 歩兵と 血ぃ塗る 大和歌(を歌え)

大学3~4年生頃の作品で、ここからいくつかを抜粋してゼミナール詩誌に発表した記憶がある。

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